まぁ、個人も組織も、いつも「課題」を抱えています。
何の心配も要らず、順調順調!などということはまずありません。何かがうまくいくと、何かがおかしい。順調そうに見えるのだけれども、どこかに心配事を抱えている。
そうした心配を払拭するためには、一度組織を「要素」に分けて、「分析」をかける必要があるのですが、なかなか中小企業にはその時間的な余裕がない。大企業なら、専門部署をこしらえて、「業務」として命じればいいのですが、中小企業にはそうした人的余裕もありません。よって、そうした「仕事」は、「経営者の仕事」か、「幹部の仕事」ということになります。
組織には、二つの大きな流れがあります。
ひとつは「スタッフ」という流れで、組織の方向性やそれに基づいた計画を立て、同時のそうした実行の進捗を監視し、達成度や慎重度を見つめる流れです。「先々、こうした組織になりたいので○人にこうした資格を取らせる」などというのは「スタッフ」の流れです。「事業計画を立てる」「企画を立てる」「採用計画を練る」「ロスやミスの発生率を監視する」「教育訓練計画を」立てる」「組織の中からアイディアを募り実行させる」・・・・・。こうした【実務】とは少し距離を置いた活動を「スタッフ」と呼びます。
辞書では、このように定義されています。
「スタッフ(英語:staff )は、組織形態の一種。 仕事(労働)を裏方で支える、様々な部門を担当している関係者、および、そのチームを指して言う英語であり、英語に由来する世界的共通単語である。」
もうひとつが「ライン」という流れです。「受注」から「資材調達」「製作」「製造」「販売」「施工」「配達」などの活動、あるいはそうした活動を支えるために「契約」「請求」「集金」「財務」などという活動もこれに含まれます。おおむね組織は、こちらの活動を中心にして組織を構成します。「部門・部署」という名称はこの機能を効率的に行うために設けられています。当然、目に見える形での「利益」は、ここから生まれているように見えますから、組織はここに力を入れます。組織は「ピラミッド型」にならざるを得ず、中で示される言葉は「命令」と言うことになります。辞書では、このように定義します。
「ライン部門 – 組織が目的とする業務を直接担当する部門、およびその部門で働く人間」
こうした考え方はもともとは「軍隊」運営から出てきた考え方です。「ライン」が実際の戦闘行為を行う部門とすれば「スタッフ」は参謀の位置づけです。長所は、指揮官の負担を軽減すると共に、専門性の高い視点からアドバイスをもらえるということであり、短所は、ラインとスタッフのバランスが難しく、互いの職能への介入や対立を招きやすいなどがあります。
中小企業の最大の弱点は、この中の「スタッフ」という概念がまったく欠如している、ということです。
多くの組織が、スタッフ活動を「個人の技量」の上に乗せてしまい、そうしたことができる人がいる組織は成果をそこそこ出しているし、そうしたことを処理できない組織は経営者が苦労しています。そして、組織の「課題」や「問題」の多くは、この二つの流れの「滞留」にあります。
逆に、伸びている組織の特徴のひとつは、こうした機能を意識して切り分け、淡々と処理しています。
さて、皆さん方の組織は、いかがでしょう?