組織活性化コラム

自己責任時代

    ここ数日、出張が続いていてHPの更新が遅れています。何とか時間をつくろうと思うのですが、なかなか厳しい綱渡りをしていて、情けない次第です。

    半年前に書いた文章を掲載します。

     

    【「自己責任時代」の到来】

    こんにちは。戸敷進一です。
    個人的に4年9ヶ月毎日書き続けた「ブログ」を2月で終了し、4月から「オフィシャルサイ(https://sien.co.jp/)」を立ち上げました。それまで日常雑感を柱にして勝手なことを書きなぐっていたのですが、そろそろ「本業」である【組織活性化】に特化したものが必要になり始めたのでした。そうなると、毎日「南風通信」風の文章を書かなければならず、朝晩呻吟(しんぎん)しています。
    ただし、「アウトプット(出力)」を変えるためには「インプット(入力)」を変えなければならない、という貴重な体験を半ば強制的にさせてもらっているわけで、それこそ日常生活のリズムが大きく変化しました。それまで、どちらかといえば「感性」でものを考えていたのですが、最近は少しだけ「理性的」にものごとを見れるようになりつつあります。
    「事実は事実であり、個人的な好き嫌いの問題ではない」
    ということが、ようやく分かり始めました。そうなると、毎日目にする「新聞」や「テレビニュース」との関わりが変わり、読む本も変化してきました。すでに50歳を越えているのですが、そうした変化は年齢とは無関係であるということも改めて知らされました。

    今月5月の「とじき塾・経営者編」では「~激変の時代を歴史から読み解く~」という大層なタイトルで研修をさせてもらいました。3.11の「東日本大震災」以後、国民の意識は随分と変わり、国家的な規模での「変化」の時代を迎えました。「水」「空気」「食料」に不安を抱え、なおかつ「電力」という文明のベースとなるインフラの不安定さに、多くの国民が漠然とした「不安」を募らせています。
    まさに「日本国開闢(かいびゃく)以来」という混乱の始まりです。その中で、企業経営や個人生活に最も重要なものは何か、と考える上で、「歴史」は重要度を増しております。「未知なる世界=手本のない時代」ですから、これから徹底した「自己責任時代」がやってきます。

    近代化とは、まず「成長」というプロセスから始まります。「停滞」~「成長」というスイッチが入って近代化は始まります。日本で言えば「明治維新」がそれに当たるでしょうか。1868年(明治元年)からほぼ140年近く、日本は近代化というレールの上をひた走りました。途中何度かの戦禍に見舞われながらも、ひたすら日本は「成長」を目指しました。
    しかし、「成長」は無限のものではありませんから、当然次のプロセスである「成熟」という時期を迎えます。日本における「成長」の終了は、1993年の「バブル崩壊」が合図であり、日本は「成熟時代」へ突入しました。今から約20年ほど前の頃のことです。
    「成熟」とは、「成長」の到達点であると同時に「腐敗」や「老化」の始まりです。業種や地域の差で、「成長」と「成熟」が混在していたのは、1995年から1996年にかけて「IT革命」と呼ばれる情報手段の激変振りに象徴されています。WindowsPCの爆発的普及と携帯電話の急速な広がりは1996年がスタートでした。

    「爛熟」とは「多様性」と同義です。
    携帯電話の機種は増え、パソコンの仕様は季節ごとに変わり、車の車種は覚えられないほどに広がり、住宅はエコを競い、着る物は個性的になり、音楽は流行らず、外食は安値と品数を誇りました。「多様性」を競い合う時代こそが「爛熟」の証でした。そして、その「爛熟」の時代が終わりを告げようとしています。「爛熟」の後に来るものは「衰退」と「停滞」です。3.11以後の被災地の復興が遅々として進まず、国際社会からはじかれ、なおかつ国内消費は収縮の一途を辿ります。
    このときに「経営者」や「経営幹部」という組織の【統率者】に求められるものは、「リアリズム」すなわち、「現実を現実として見つめ、次なる一手を自ら決めること」以外にありません。

    「経営計画」や「事業計画」の見直しは出来ているでしょうか。
    この2ヶ月の間、何度「社員教育」を行ったでしょうか。
    「情報を持っている人」と直接コンタクトを取りましたか。
    「外国情報」をどれだけ得ましたか。・・・・・
    同時に「幹部たち」とどれほど真剣な「対話」をしましたか。

    企業人も個人も、今一度「リアリスト」に徹する必要があります。国や県などというものが「虚構」であることをいやと言うほど目の当たりにしながら、なおかつ「自ら動かない」とすれば、時代の表舞台から必然的に消えていかざるを得ません。

    【自己責任時代】の到来です。(自戒を込めて)

    今週もお元気で。
    戸敷進一でした。

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