先日、あるセミナーで「九州経済今昔」という西日本新聞の部長さまの話を聞いてきました。
九州は、面積42,193㎢で、日本の面積の11,2%、人口1323万人で、総人口の10,5%を占めています。同時に九州の域内総生産額は、約48兆円で、日本の国内総生産(GDP)の9,3%を占めています。九州の域内総生産額を世界各国のGDPと比較すると、世界第20位のベルギーと同等の経済規模を持っています。そうした予備知識を持ってお話を聞いているとここ20年間の日本の「変化」がよく理解出来ました。
1996年の山一証券の破綻をきっかけにして、日本全国で様々な業種でバブルが弾け、従来型の経営手法が通用しなくなり大きく様変わりをしています。九州で言えば、2001年のシーガイヤ破綻、2002年の大手スーパー寿屋の破綻、2002年のハウステンボス破綻と目を覆いたくなるような展開がありました。全国でも地方でも金融再編と破綻処理が進み、現在の経済体制の原型が再構築された時期でもありました。ちょうどコンサルタントとして独立した時期と重なる出来事をセミナーで渡された経済年表に記入してみると、どれだけ厳しい時期であったかが分かりました。
もし1996年の頃に「社会人」であった人たちは、一度この20年間の日本の動きについて勉強をされてみるといいかもしれません。これを知ると、今の動きとこれからの動きが見えてきます。
これから「非正規労働者」の数は減ってくるのではないかと思います。
新聞記事によれば
「食品スーパー大手のライフコーポレーションは、パート社員約2万人を対象に、毎年賃金が上がっていく定期昇給(定昇)を5月から始める。正社員だけでなくパート社員にも定昇を導入するのは珍しい。小売業界は人手不足が続く。非正社員の待遇を改善して優秀な働き手を引き留めようとする動きが広がり始めている(朝日新聞)」
という動きが始まっています。三越伊勢丹でも時給の引き上げや月給制の導入が4月から始まります。これは、すでに人手不足が深刻化して、働き手を引き止めて置けなくなてきたという証拠です。
厚生労働省の発表では
「厚生労働省が11日発表した2月の労働経済動向調査によると、従業員が「不足している」と答えた事業所の割合から、「過剰」を引いた労働者過不足DIは正社員で2014年11月より9ポイント高い31となり、比較できる1999年2月以降で最高となった。景気回復を受け製造業、運送業、医療など幅広い業種が少子化で細る人材を奪い合っている(日経新聞)」
となっています。
こうした状況の中、猛烈な「人手」獲得競争が進むと、当然「正社員採用」というハードルを越えなければ、労働力の確保が難しくなります。現にユニクロを経営するファーストリテイリングでは短時間労働者の正社員化を進め、東京ディズニーリゾートでは契約社員のうち希望者全員を正社員にするという方針を打ち出しています。
猛烈な人口減少と圧倒的な労働力不足については、各講習やセミナーで毎回お伝えしているとおりです。その中で、今のような動きを察知していなければ、早い段階で組織運営は行き詰まってしまいかねません。「人件費をいかに抑えるか」が課題の時代もありました。しかしこれからは「労働力をいかに確保するか」という時代に変わろうとしています。当然従来型の意識と経営システムでは回していけず、相当な生産性向上と新たな商品開発・サービス開発が不可欠となります。
【組織活性化活動】は進んでいますか?
社員の【意識】は上がっていますか?
【危機感の共有】はできていますか?
いつの時代にも「従来型」との決別が必要です。そのためには、組織の備えが出来ていなければ一歩も前に進めません。