組織活性化コラム

「誰が」言っているのか

    「先生、どうやって情報収集をすればいいんですか?」
    「んっ?何の話だい?」
    「最近は、新聞を読んでもテレビを観ても、どれが正しい情報なのかさっぱり見当がつかないんですよ。情報を知れば知るほど混乱してきます。正しい情報はどうやって手に入れればいいんですか?
    「うーん、少し話が混乱してるねぇ」
    「どういうことですか?」

    「うーん、君は情報をどうやって手に入れているのかな?」
    新聞やテレビ、それにインターネットです。最近はアンドロイド携帯に変えたので情報は早いですよ。先生が持っている旧いiPhoneとはわけが違う」
    「ふーん、アンドロイドね。まぁ旧いiPhoneで悪かったな。最近じゃiPadも古くなっちまったよ」
    「あれれ、機嫌が悪くなっちゃいましたねぇ。何か悪いこと言っちゃいました?」
    「・・・・・」「まぁいい。確かに旧い機種だ。機嫌が悪くなってもしょうがない」
    「あれ、そんなにさみしそうな顔しないでくださいよ」
    「うるせぇ!」
    「それよりも先生、正しい情報の話です。いつも先生のセミナーでびっくりする話を聞くんですが、あれってどうやって手に入れているんですか?」

    「うーん、君が情報と思っているものはどうやら情報ではないらしい」
    「えーっ、心外だなぁ。僕は同世代では少しは情報通だと思われているんですよ。そりゃ先生に比べれば大したことはないかもしれないけれど、僕なりに頑張っているんですよ」
    「おいおい、泣くなよ」
    「泣いてなんかいませんけど、少しひどい言い方ですよ」
    「そうかなぁ。君の話を聞いていると、インフォメーション(Information)の話をしているような気がするんだけど、違うかな」
    「インフォメーションですか?」
    インフォメーションとは、報道、案内、受付ってほどの意味だが、それらは情報じゃない
    「おかしいな。辞書には情報って載っていますよ」
    「一般人ならそれでいいさ。しかし組織を率いていく人間がそんなことじゃ困るな。組織の牽引者はさまざまなシーンで【判断】を強いられる。その時にインフォメーションでものごとを決められたら困るな」
    「・・・・・」
    「本当に必要なものは、インフォメーションではなくてインテリジェンス(intelligence)なんだが、違いが分かるかな?」
    「・・・・・」
    「インテリジェンスとは、インフォメーションに【分析】と【解析】が加わったもののことだ
    情報には定義がある。

    ・情報とは、まずある事柄(情報の主)を伝える送り手(発信者、つまり情報源)とこれを受ける受け手(受信者)がいて、送り手から発せられた情報の主は、相手(受信者)に受け取られて始めて「情報」と呼ばれる。
    ・ 自然科学において、情報は意味を考慮に入れない符号として扱われる。
    ・ 社会科学において情報とは一般に「発信者または受信者にとって何らかの意味を持つもの」

    この意味からすれば、君が情報を得ていると言う「新聞」や「テレビ」や「インターネット」で得たものは、自然科学における情報と同じで【符号】みたいなものかもしれないね。

    情報の性質について言えば

    情報とはある期間で動くものであり、知識とは時が過ぎても固定されてものであると言える。また、情報には伝えるという性質がある。知識も人から人へ伝えられていくということはあるが、情報のような「流れ」がない。つまり「フロー」がないのである。
    知識とは信用するもしないも、多くの人びとの経験によって実際に確定されたものである。要するに、情報は流れて流通を形成し、断片的で寿命も短く、信用できない内容を含んでいる。この正反対が知識といって良いだろう。その中で、情報に解析と実証が加えられれば知識になるし、知識に流通への条件が整えられれば、それは情報となる。

    と言うことになる。つまり、誰が言っていることなのかということが明確でないものはインフォメーションに過ぎない。同時に、【分析】されていないものはインテリジェンスではない。つまり使えない情報と言うことになる」
    「・・・・・・」
    「分かりやすく言えば、新聞に折り込みチラシが入っているだろう。新聞と織り込みチラシは実は同じものだ。朝、郵便受けに投げ込まれたインフォメーションさ。スーパーの安売りや電気店の安売りの情報と同じものだ。そこに【分析】という要素と、誰が誰に送っているものなのかという【解析】が入らないと、インテリジェンスにならない。これは、テレビもインターネットも同じだ」
    「つまり、漫然と眺めたり読んだりせずに【考えろ】と言うことですかね」
    「そうだ。君らが情報と言っているものは、単なるインフォメーションさ。君だけじゃないんだぜ。最近若い世代と話す機会が多いのだけど、その辺りが随分気になっている。新聞に載っていました。テレビが言っていました。ネットに書いてありました・・・・。だから何なんだ!って言いたくなるようなシーンが少なくない」
    「うーん、痛い言葉だなぁ」
    「正しい情報なんて、どこにもないんだ。あるのは、自分の判断と【誰が発信しているか】という問いかけだよ。今は、情報があふれ返っている。その中から自分で【見つけ】【分析し】【判断する】以外に道はない」
    「ということは、先生に質問するな!ってことですか?」
    「ピンポーン!正解です!結論、自分で考えろ!!」
    「相変わらず意地悪だなぁ・・・。でも、【情報の定義】とか【情報の性質】とかちゃんと教えてくださいよぅ」
    「おや、とじき塾で何ヶ月か前にやった話だぞ。おやぁ、その時参加していなかったかい?」
    「・・・・・・」

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