組織活性化コラム

【「ベンチマーク」を探せ!】

    (2011.5.16発行 メルマガ「南風通信 再録)

     

    こんにちは。戸敷進一です。
    この不景気な時代に、前年対比72%増という商品があります。世界における携帯電話販売のうち、スマートフォンと呼ばれる端末は昨年の統計で、72.1%増でした。日本でも、昨年末の段階で5台に1台はスマートフォンで、ある総研の予測では、今年中に3台に1台、2015年には携帯電話の半分がスマートフォンになるそうです。
    携帯電話の普及で、漫画雑誌や週刊誌が売れなくなったという話があります。若者達が携帯料金の支払いに追われ、漫画や週刊誌を買わなくなったというのです。同じように、携帯電話が普及したために、それまで待ち合わせ場所の定番であった「喫茶店」が全国から消えていきました。
    さて、スマートフォンの爆発的普及によって、次にどんな産業が消えて行くのでしょうか。

    ベンチマーク(英: benchmark)とは、本来は測量において利用する水準点を示す言葉です。転じて金融、資産運用などや株式投資における指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味すると同時に、広く社会の物事のシステムの有り方や規範としての水準や基準などを意味しています。

    私は、以前建設会社の勤めていて、現場で働いていたので「測量」の専門家です。測量士という資格ももっていますし、実際に「水準測量」や「多角測量」「路線測量」などという実務も行っていました。なので、「ベンチマーク」という意味がよく分かります。
    例えば、われわれが普段何気なく使う「高い」「低い」という言葉には基準がありません。一般的な「高い」「低い」という感覚は、「相対比較」といって、二つのものの比較で使っている言葉です。「あの山は高い」というのは、自分が今いる位置から見た場合に「高い」のであって、客観性を持っていない比較です。
    熊本県の「阿蘇山」は確かに「高い」山ですが、標高は「1592m」です。大分県にある「九重山」は、阿蘇山より高く、「1791m」です。それでも「九重山」は九州一ではなく、屋久島の「宮之浦岳」が「1935m」で九州最高峰です。さて、「阿蘇山」は本当に高いのかどうか・・・・。
    九州以外に目を転ずれば、四国最高峰の「石鎚山」の標高は「1982m」。本州まで目を向ければ、2000m級の山々がごろごろしていて、日本で一番高い「富士山」の標高は「3776m」です。それでも世界に目を移せば、エベレス
    トは「8848m」で・・・・。
    さて、今窓の外に見える「山」は、本当に「高い」のかどうか・・・・

    組織の「レベル」や「活性化の度合い」を数値化することはなかなか出来ません。せいぜい、「以前に比べて」という比較でものごとを考えがちです。もう少し枠を広げたところで、「業界で見たときに」「地域では」という比較がいいところでしょうか。
    組織が伸び悩んでいる理由は、この「ベンチマーク」の不在にあるといってもいいかもしれません。社内だけで「高い」「低い」を言い合い、業界比較に一喜一憂をして、揚げ句いつまでも同じところでぐるぐる回ってはいませんか。
    組織だけではなく、個人もまた同じです。比較対象が明確でないために、何をしなければならないのかがよく見えていない。本来能力も意欲もあるのに次のステージに進めない・・・・。

    「田舎なので」「小さいので」「人がいないので」「忙しいので」・・・。
    「学歴がないので」「素質がないので」「男(女)なので」「若いので」・・。
    「金がないので」「年を食っているので」「早すぎる(遅すぎる)」・・・・。

    「ベンチマーク」を探せば、そんな言い訳など通用しないことがすぐに分かります。

    大変化の時代を生きていかなくてはなりません。

    今週もお元気で。
    とじきでした。

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