組織活性化コラム

組織活性化を阻む3つの社会的病理 1

    なぜ「意識改革」が進まないか

    これだけ大きく時代が変わってるというのに、多くの組織では「組織活性化」が追いついていません。「一人に一台のPC」や「ネットワーク環境の整備」というハード的なインフラは順調に改善されているというのに、組織に所属する人たちの「意識」がなかなか変わってくれません。
    なぜでしょう?
    教育訓練も行なっている、システムの見直しもしている、事業計画書の発表も行い、危機意識の共有もしているつもりなのだが、それでも「人が育ってきている」という実感に乏しい。何か不完全燃焼気味で、手応えを感じない。このまま、次世代へどのように組織を引き渡していけばいいのかわからない。そうした、本音の話を経営者からよく聞きます。

    【自ら考え、自ら動く人たち】

    組織で手応えを感じない理由は、「自ら考え、自ら動く人たち」が組織の中にほとんどいないということを見れば分かります。
    組織の中には
    「○○しなさい」「○○してください」
    と言えば、きちんと出来る人たちはたくさんいるのですが、
    「○○していいですか」「○○したほうがいいんじゃないでしょうか」
    と言い出す人たちが殆どいないのです。
    つまり「受け待ちスイッチ」ばかりで、「自らスイッチ」を持っている人たちが見つからないのです。10年ほど前の「右肩」が上がっていた時代であれば、命令されたことを忠実にこなす人間が必要だったのですが、現在のように「右肩」下がりの時代には、経営者と一緒になって考えてくれる人間が必要なのです。

    「本質」から問い直す

    組織活性化は、経営者にとっては最優先の課題です。「売上」を上げてから組織を変えるのか?「利益」が出たら組織を変えるのか。「ベテラン」が退職してから組織を変えるのか?さて、どれもこれも間に合いそうにありませんね。昨今の時代の変化は予想外に大きいので、素早く組織を改善しなければ同業他社に遅れを取り、地域の中で埋没し始めます。
    現実として、ライバルは同業ではなく、異業種になりつつあります。外食産業の最大のライバルは間違いなくコンビニです。高齢者が増えてくれば、スーパーの敵もコンビニに客を取られます。建築のライバルは、ソーラーパネルを引っさげて再生可能エネルギーを全面に打ち出してきた大手電機販売店です。同業でも、地元の企業ではなく県外の企業が様々な分野で押し寄せてきていますし、大手流通業は、遅れる東日本復興と放射能の問題から、明確に事業展開を図る地域を決め直しているようです。
    ぼんやりと移りゆく風景と与えられた情報で物事を判断すると、大きな間違いをしでかすかもしれません。周りの風景を正確に観察し、進むべき方向をきちんと定めるためには、一度【本質】へ立ち返って、社会と組織の点検を行わなければなりません。

    組織活性化を阻むもの

    なぜ、現代組織が閉塞感を感じてるかという理由はいくつかあります。まずは、「人口減少」という大きな社会的枠組の変更があります。同時に「少子高齢化」という流れも加わっています。確かにそうした大きな枠組みの変化はあるのですが、そうしたものに一喜一憂するから組織活性化が進まないという現実も存在するようです。
    左がかった政治家や評論家や大学教授の「常套句」に、「困ったときの北欧頼み」というものがあります。討論や議論で自分の言葉で喋れなくなると、決まって彼らは
    「ノルウェーでは」「フィンランドでは」「スウェーデンでは」
    と一般的に社会保障制度が進んでいると思われている北欧諸国の名前を出して、国民や視聴者を騙そうとします。何故ならば、彼らは
    ノルウェー人口・・・480万人
    フィンランド人口・・・532万人
    スェーデン人口・・・925万人
    ということを決して言わないのです。日本の人口は概ね1億2700万人ですから、日本とは「2桁」国のスケールが違うのです。日本で言えば「神奈川県人口・・907万人」「福岡県人口・・507万人」ですから、例え話であるにしろ、国家の社会保障制度の参考に全くならないことを隠してから話を始めるのです。同時に、それらの国々が「徴兵制」を敷いていることなど誰も言いませんし、フィンランド軍が「小型武器の所有率」において世界で3番目の国であることも言いません。(ノルウェーは2010年に徴兵制を廃止)
    同じように、韓国経済の急成長を賛美する論調をよく目にしますが、韓国の人口が日本の半分以下であること(4600万人)を前提に話をしている評論家を見たことがありません。そして日本のGDPは5兆8700億USドルで、韓国のGDPが1兆1160億USドルであることも言いません。そして、20代、30代の若者の数にしても、概ね日本が3300万人いるのに対して韓国では1650万人です。

    実は、日本の中にいる多くの評論家やコメンテーターと呼ばれる人々は、「表層」を捉えて、物事を語ろうとしているのです。「表層」なので、その深部に何が潜んでいるかを考えようとしない。ましてや「潜在能力」や「可能性」などどうでもいいと思っているようです。何故ならば彼らは【当事者】ではなく、「評論家」だからです。【当事者】ならば、当然真剣にならざるを得ず、時に命がけになるはずなのですが、紙面や画面から見える彼らの口調は、どれも嘘くさいとは思いませんか。

    問われる【本質】からの問いかけ

    現在組織が抱える悩みは、実は「本質」に関わることなので、右から左へ物を動かすように簡単には解決しません。しかしその「本質」を考えると、自分たちの組織の中でどのように対処すればいいのかが見えてきます。物事が見えて来れば、道筋が見えてきます。
    「自ら考え、自ら行動する人たち」を育成するために、その「意識改革」を阻む3つの「病理」について書いてみたいと思います。

    1・「悪平等」からの脱却
    2・「共通言語」の喪失
    3・「3年の意味」と人財

    無理矢理に小見出しを作るとこんなかんじでしょうか。忙しい中ですが、時間を作って「病理」について解説をしていきます。

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