とじき雑感

成功体験との闘い!

    組織を「変化」させる上で、もっとも大きな障害になるのが、地域や業界の【常識】と今までの【成功体験】です。

     
    th_別府温泉九州の事例で言えば「別府」の「観光業界」は、かつて黙っていても温泉客が来てくれていたので、その時のイメージが抜けず、かなり苦戦しています。
    別府市が発行した「観光動態要覧」によれば
    「総観光客数は09年の調査に比べて約34%減の793万2851人となった。宿泊客(約36%減、232万3631人)、日帰り客(約33%減、560万9220人)のいずれも減少した」
    とありますから相当な落ち込みです。かつて、1976年頃には年間1300万人の観光客が訪問していたので、隔世の感があります。おまけに隣接する「湯布院温泉」の評判がいいので、余計その凋落ぶりが伺えます。

    実際、別府の温泉を訪れた時に駐車場で案内をする人に相当ひどい言葉を投げかけられたことがあるので、凋落の原因の幾つかは想像がつきます。初めてそのホテルに来た県外ナンバーののドライバーにそれはないだろう、という感じです。少し有名な温泉ホテルでも、「いらっしゃいませ」と愛想よく声をかけられながら宿泊客でないとわかった瞬間、露骨に態度が変わったといいますから、残念ながらリピートは無理ですし、誰かに紹介するということもありません。
    昔のイメージならば「泊めてやる」で良かったのでしょうが、昨今の顧客ニーズや価値観からすると、それでは客が離れていく。それだけではなくて、近年は「ネット」で評判が語られるので、妙なことを書き込まれると、いらぬ誤解まで与えかねないのです。

     

    「何もそこまでやらなくてもいいだろう」
    「そんなことをやっても意味がない」
    「嫌な客が増えたなぁ」
    「そんなことをすると、客がつけあがるぜ」
    「そこまで社長が言うなら私やめます」・・・

     

    時代や社会が大きく変化しているので、組織も当然それに合わせて「変化」しなければなりません。もし変化できないとすれば、消えてしまいます。それは何も別府や観光業界だけの話ではないのです。多くの地域や組織で、毎日のように変化することへの「抵抗運動」が続いているのです。

    かつての「成功体験」が、今の「失敗要因」になっていることを、経営幹部は自覚して組織の中に告げなくてはなりません。
    「これじゃ、まずいぞ!」

    最近、実にまずい状況の組織に行って来ました。

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