s_clouds-191652_640ある日、新聞を読んでいて奇妙な気分になりました。
朝日新聞の天声人語で、「スマホフリー」に関して、変な文章が書かれていたのです。
〜スマホフリーはスマートフォンを使わないこと。できるわけない、と悲鳴が聞こえそうだが、試みている会社が岐阜県にある。私用のスマホを使わない社員に、毎月5千円の奨励金を出す制度をつくった(2014.2.15)~
つまり、社員が下を向いてスマホをいじり、昼休みの会話も減った光景に65歳の社長が考えて始めた制度だそうです。
〜「人と話す。本を読む。物思いにふける。そんなアナログ的時間と空間が増えれば、想像力、表現力、他人をおもんぱかる力がつく。10年もしたら相当に差が出て、企業としての競争力がつくだろうと思う」。その言葉にうなずく〜
と記事は続きますから、天声人語としてはまさにそのとおりだと言いたいのでしょう。

読みながらぎょっとしたのは、制度を始めた社長にも記事を書いている人間にも、「デジタルとアナログ」の意味と「物事の本質」が分かっていないということでした。想像力、表現力、他人をおもんぱかる力とスマホは無関係です。そうした能力は、スマホなどというもの以前の問題であって、金を払ってスマホを持たせなければ能力が上がるなど、どこをどう考えれば出てくるのかまったくわからない。スマホを持っていても本を読む人間は読むし、スマホがなくても読まない人間は読まないのです。

 

スマホの普及率に関する国際統計があります。(世界48か国を対象にしたOur Mobile Planetのスマートフォン普及率の調査結果)

1位 UAE   73.8%
2位 韓国   73.0%
3位 サウジアラビア  72.8%
英国9位、アメリカ13位と続き、日本は下から5番目(全体44位)の25.7%です。日本より下位なのはベトナム、インド、インドネシア、ウクライナの4か国のみです。

 

世界の潮流を知らず、時代の方向を知らず、自分の「思いつき」で何かを始めると、痛い思いをすることがあります。グローバリズムの時代だと叫びながら、その実「本質」的なことを考えず、これから時代と組織を背負っていかなければならない人たちから「月額5000円」で時代の最先端を奪うセンスのなさは奇妙と言う以外にありません。繰り返して言わせてもらえば、スマホを持っていることと、想像力、他人をおもんぱかる力、人と話す、本を読むということはまったく別物です。それをごっちゃにしてしまい、無批判にそれを礼賛するメディアの劣化は目を覆うばかりです。
私の周りには、スマホをもって、タブレットを抱え、月に20冊も30冊も本を読み、人と語り、自分の未来を切り開き、前に進んでいる若者たちがたくさんいます。

私なら、そうしたエピソードを聞いて「10年もしたら(その企業は)相当に差がついて、競争力を失うだろう」と書いてしまいそうです。
【本質】を見失ってはなりません。新聞に書いてあることが本当だと思ってもいけません。

「判断」は自分でするものです。