組織活性化コラム

組織の「窓」

    「窓」の役割は【採光】と【換気】を行う「開口部」のことです。「窓」が小さい建物や部屋は、イメージしていただければ分かりやすいが、当然「暗く」「息苦しい」。「暗く」て「息苦しい」状態は長く続けられないので、みんなその部屋や建物に長くいたくありません。なおかつ、無理やりにいるように命じても、「暗く」「息苦しい」中では能率もやる気もおきようがない。

    さて、組織にも「窓」があります。ただし、その「位置」と「大きさ」と「材質」は、それぞれの組織で随分違います。大きく、透明で、東向きや南向きに取り付けられた「窓」は、望みどおりの「採光」を果たします。同じ大きさでも「北側」や「西向き」の場合、思ったより暗かったり、午後の「西日」に悩まされることがあるかもしれません。
    さまざまな組織とかかわりを持つ中で、「からり」とした雰囲気できちんとした成果を残している組織の特徴は、組織内外の「情報」が絶えず更新され、同時に「くっきり」と見えているので、居心地が良い。

    実は、「組織の窓」とは、「情報」の出入り口のことです。
    時代が大きく動き、同時に「従来型」の動きをしない状況が続いています。最近出会う50代60代の幹部の方々と話していても、「不安」を口にされることが多いのですが、その理由は今までのベテランの存在意義だった「経験値」が生かせない時代になってしまったからです。右肩上がりで、時代変化が緩やかな時には、何よりも「経験」が大切でた。しかし最近では、それだけでは通用しなくなってしまいました。業界の「境界」があいまいになり、流通の「仕組み」が変化して、何よりも顧客の「要望」の質が変わってしまいました。
    例えば、コンビニエンスストアが「何屋」なのかを考えてみればその意味が分かるでしょうか。最近のコンビにでは「生鮮食料品」を扱っています。野菜、魚、卵、豆腐・・・。同時に、コンサートなどのチケット販売を行い、雑誌を売り、新刊本の取次ぎを行います。年末には年賀状の印刷窓口となり、何よりもATM機で「出入金」できる金融機関の機能を持ち、公共料金の払い込みまで出来ます。単に「24時間開いている雑貨屋さん」ではありません。それらは「顧客」の要望が何なのかということを突き詰めていった結果実現されたと同時に、支持されているからこそ維持できていることです。

    この「経験値」が有効に機能しない時代に、もっとも大切なことは組織内の「情報の共有」と「情報の更新」です。世の中で何が起り、どのように動いているのか。その中で組織に所属する人間は、どのように行動すべきなのか。そしてその情報は日々刻々動くので、更新頻度が高くなくてはなりません。

    「組織の窓」の「位置」と「大きさ」と「材質」はいかがでしょうか。
    「窓」は高い位置にありますか?低い位置ですか?
    「窓」の向きは、南向きですか?北向きですか?
    「窓」の大きさは十分ですか?針の穴のような狭さですか?
    「窓」の材質は、ガラスですか?障子ですか?襖(ふすま)ですか?・・・

    「窓」は部屋や建物の「構造」なので、その変更は、組織の中で過ごす人々にその決定権はありません。
    唯一「経営者」だけが、構造の変更を命ずることが出来ます。

    さまざまな組織とかかわりを持つ中で、「からり」とした雰囲気できちんとした成果を残している組織の特徴は、組織内外の「情報」が絶えず更新され、同時に「くっきり」と見えているので、居心地が良い。つまり、【採光】や【換気】といった機能がきちんと動いているのです。

    組織の「窓」に見直しの必要はありませんか?

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