組織活性化コラム

淘汰の最前線

    数日前、旅先の日経新聞で「建設」に関わる記事を見て、目を剥いてしまいました。

    「建設業の再編支援 〜政府、地銀と連携〜」

    という記事でした。
    記事の詳細な内容はともかく、一言で言えば「M&A」を進めて、建設業の数を6〜7割ほど減らすという記事でした。まぁ、いつもの話なのですが、その中に「金融機関と協定を結び」という文言があって、国交省の本気度が伺えました。

    産業構造の変化は、ひとえに「簡素化」というところを目指しています。複雑な流通過程を減らす。業者数を減らす。規制を緩和する。自由化を進める。外国との取引をしやすくする・・・。そして、行き着く先が「二極化」です。「大きい所」と「小さな所」しか生き残ってはいけない、という流れを辿ります。

    すでに「旅行業界」では、再編の動きが広がっていて、という話は数カ月前に聞いたところでした。「運送業界」も集積地や経験者確保のために「M&A」が進んでいます。「観光業界」ではホテルや旅館の系列化は何年も前から進んでいて、「会計業界」という「士業」もそうした流れの中にあります。
    それを考えれば、「重厚長大型産業」の一翼を担ってきた「建設業」にもそれが襲いかかってもなんの不思議もありません。ましてや、国交省直々の通達なら、3年を経ずに「形」になってしまいます。

    記事を見つけた翌日、建設業関連のセミナーだったため、「M&A」の専門家である「横浜総合事務所」の泉先生へ朝早く電話して、「M&Aを行う際の3つのポイント」という質問をしました。
    「まぁ、企業のお見合いみたいなものですからねぇ、社長の相性とかタイミングとかありますが」
    という前置きから、専門家のお話を聞きました。そして電話の最後に、泉先生はこうおっしゃいました。

    「本音を言えばですね、中小企業のM&Aに関して一番大きな問題は、売れなくなってから相手を探そうとすることですよ。行き着くところまで行って、どうしようもなくなって、買い手を探すんですね。そうなるとそんな企業、誰も買いませんよ。本当はここが一番重要なんです。M&Aもちゃんと経営計画の中に織り込んで、企業としての付加価値をつけて、業績を伸ばしておかなければ実現できないことなんですよ

    さすが、専門家なので私がその日に話さなければならない話の結論まで教えていただいた。

    年明けから、様々な業界でなお一層の「再編成」が始まります。病院、工場、流通、小売、農業、漁業・・。
    「買う側」と「買われる側」。
    仲介する金融機関の思惑と監督官庁の意向。
    地域経済団体の反発と業界団体の抵抗。
    「買った側のマネジメント」と「買われた側の下克上」。
    TPPが進むと、この流れは加速する。
    流れについていけない個人と組織の行く末は・・・。

    県外のセミナー会場へ車を走らせながら、そんなことを考えました。
    11月11日の博多開催「とじき塾」には、泉先生をお招きしています。時間があれば、そのあたりのお話も聞いてみたい。

    「なるほど、戦国時代ね!

    時速80Kmの道路を、少々?速度オーバーしながらつぶやいたことでした。
    なお、該当する日経新聞の記事は、週明け関係すると思われる「クラブ会員」企業様へメールさせて頂きます。

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