組織活性化コラム

南風通信再録 強い会社の強い幹部

    こんにちは。戸敷進一です。
    昨今の「電力」や「放射能」に関する報道を聞いたり読んだりするたびに、【制度疲労】を起こした組織や国家の素顔を見せられたようで、しばし呆然とする瞬間があります。

    「昨年の電力不足に何も学ばなかった各電力会社」
    「将来ビジョンを明確に示せない政治家」
    「忠実に以前からの利権を守ろうとする官僚群」
    「日々流される報道を無批判に受け入れ、政治家やマスコミ人からB層と呼
    ばれる少なくない国民」・・・
    以前、オフィシャルHPで、「現代は明治維新ではなく、戦国前期だ」(https://sien.co.jp/column/since2011/2011_08_21_1220.html)という話を書きましたが、ますますそんな気分がしてきます。「中央が力を失って」「虚をつく知識人」に関しては、昨年8月に書いた時以上に、事態が深刻になっているかもしれません。「強い会社の強い幹部」というテーマで、セミナーなどで話をしてきました。
    以前の「幹部の条件」というのは

    1、いつでも「独立」できる人
    □マネジメントに関する広い「知識」を有する
    2、「課題発見」「課題解決」【能力】を持つ人
    □組織全体に対する広い「視野」を有する
    3、組織の「内外」へ対して「発信」できる人
    □表現する力、理解させる力を有する
    注【専門性】を有していることが前提

    ということでした。
    右肩が下がりはじめたとはいえ、それでも社会や世の中がゆるやかに変化していたので、こうした「穏やかな条件」で組織が回っていたのでした。まだ、「業界」という垣根がおぼろにでも見えていましたし、少子高齢化も今ほど顕在化していたわけではなく、何よりもまだ時代の中に「余熱」があって、まだ何とかなるのではないかという楽観論が横行していたようにも思います。
    今から10年前といえば、2002年(平成14年)のことで、当時の総理大臣は小泉純一郎で、その年の1月にヨーロッパではユーロが流通し始めたのでした。NHKの大河ドラマが「利家とまつ」だった年、鈴木宗男、辻元清美、田中真紀子などが辞職に追い込まれた年、流行語大賞が「タマちゃん」だった年といえば、その緩さを思い出していただけるでしょうか。そして、何よりも竹中平蔵という「悪代官」が日本の根幹の仕組をぶち壊し出した年でもあります。

    「幹部の条件」も当然変化します。
    昨今の「幹部の条件」は、さまざまな技術的な要素の他に【重力に逆らって】という物理的な要素が加わりました。組織を植物に例えた時、「葉」が一般社員、「枝」が係長級、「幹」が課長・部長、「根」が経営陣に相当します。風が強い時に、「葉」や「枝」が揺れるのは当たり前のことです。揺れなければ、葉が落ちるか、枝が折れるという話です。つまり、「葉」や「枝」は揺れるのも仕事の内、と言うことになります。しかし、「幹」である【幹部】が「葉」や「枝」と一緒になって揺れるわけには行きません。「幹」は、どんなに風雨が強くても、揺れてはならないのです。同時に「根」から運ばれた水分や養分を【重力に逆らって】植物の他の部分へ送り届けるという役目を担います。

    今年の「とじき塾」のテーマは、「全社幹部化」です。それは、組織全体で【重力に逆らって】という活動を起こさなければ組織がもたなくなり始めたからです。
    さて、皆様の組織の中で、「誰が」重力に逆らって、動いていますか?
    「社長が?」
    あっ、それは、役目が違いますね。社長の役目は、水分や養分を探しだしてくる「根」の仕事ですよ。実は勘違いしている社長が少なくなくて・・・。

    今週もお元気で。戸敷進一でした。

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