最近のメディァに関して気になることは、「ネガティブ」なものが少なくない、ということです。これは今に始まったことではなく、メディアの煽り方の一種なのですが、このごろはその程度がますますひどくなってきているようです。経済雑誌のタイトルを信じるとすると、日本はすでに「数百回」ほど潰れていないといけないわけですが、残念ながら日本はまだ潰れていない。
そうしたことを考えると、メディアは「誰のために」記事を書こうとしているのか、首を捻りたくなることも少なくありません。
気をつけておかないと「敵」がどこにいるのか分からなくなります。
今年、7月に書いたメルマガを再掲します。
【「敵」はどこにいるのか?】
こんにちは。戸敷進一です。
日本の「東日本大震災」だけではなく、米国の「たつ巻」、ヨーロッパの大腸菌「O-104」と世界的な規模で「自然変化」が起っているようです。すべてにおいて「スケール」が従来のイメージより大きく、思わずたじろいでしまいそうな気分になってしまいます。
有史以来、人間の歴史は、自然との闘いの連続で、そしてそれを克服することは永遠に訪れません。なぜならば、人間も自然の一部なので、その中に組み込まれた存在です。そこでは「対立構造」はありえず、せいぜい「折り合いをつける」中からしか解決策は見つけられません。
これから、世界的な規模で新しい「構造」が作られるのかも知れません。組織の中に近づいて、「仕組み」や「方法」の話を聞いていると、「個人」の名前が出てくることがあります。それは社長であったり専務や部長の名前であり、立場を変えると中堅や若手の名前が上がったりします。「社長が○○なので・・・・」
「専務が○○で・・・・」
「部長が、課長が、マネージャーが、チーフが・・・」
「最近の若い連中ときたら・・・・特に○○は・・・・」コンサルタントの仕事は、話を聞くところから始まりますから、黙って組織の聞いていると、次から次に「個人の名前」が出てきます。親しくなるとその中身は具体的になりますが、その多くが、「悪口」です。
時代が大きく変わっているので、組織は「内部を整えて」何ものかと戦わなければなりません。時に「ライバル企業」であり、時に「時代変化」であり、グローバル化の進んだ現代では「消費者」もその戦う相手に含まれるのかもしれません。
組織がまとまらなければならないときに、真っ先に出てくるのが「仲間の個人名」と「悪口」であるというのはどうしたことでしょうか・・・・。日本は、いい意味でも悪い意味でも「ムラ社会」なので、表立った批判は苦手です。明確に組織の「非」と唱え、「課題」を明確にして「対策」を講じなければならないのですが、歴史的にそうした「明確さ」「明瞭さ」が苦手です。「ムラ社会」の特徴は、「異質なもの」をはじく、というものです。「ムラ社会」において、最優先されるのは「異端を排除する」という性質を持っています。よって、その社会に属する人たちは、「陰に回って」本音を言います。
「実はですね・・・・」
「本当はね・・・・」
という、組織内の「枕詞(まくらことば)」は、この行動の証明ともいえ
ます。実は、戦わなければならないものは、こうした「旧態然とした組織の体質」なのです。
【個人に責任なし!】
という大原則を立てると、今まで組織が取り組んでいなかったことがあっという間に見えてきます。「明確なビジョンが確立していないので・・・・」
「適切な教育訓練を行っていないので・・・・」
「コミュニケーションが取れていないので・・・・」
「明確な利益目標を立てていないので・・・・」
「利益の先にあるビジョンを見せていないので・・・・」
「顧客満足を調査していないので・・・・」・・・・これらの言葉の「主語」は、【組織】です。個人の名前ではありません。
そして
「敵がどこにいるのか!」
と言うことも、組織は語らなければなりません。
外にあるのか、内にあるのか・・・・。「対立構造」の中からは、次の一手は生まれてきません。
時代変化の速度は、日々上がっています。そして、国家を含め、助けてくれるものはないという覚悟も必要です。
「自分のみは自分で守る」
という、いつの時代にもいわれてきた言葉を今一度かみ締めたいと思い
ます。今週もお元気で。
戸敷進一でした。