組織活性化コラム

「拍手」をしない人々がいる組織

    さまざまな企業の催し物に呼ばれます。「経営計画発表会」「安全大会」「入社式」「○○周年記念式典」・・・・。あるいは、日常の「会議」や「朝礼」にも呼ばれ、オブザーバーとして参加します。

    さて、冒頭の「社長訓示」に拍手が起きない。「来賓の挨拶」に拍手が起きない。終わりの「会長挨拶」や幹部の「謝辞」に拍手が起きない・・・・。
    こちらは、来賓や部外者として呼ばれているので、そのあたりの空気を観察しながら、要所要所で拍手をするのですが、社員の中からは、まばらな「嫌そうな」拍手しか起きない。
    こうした風景を随分と眺めてきました。
    心当たりはありませんか?

    なぜ、こうした風景が起こるのかという「理由」は簡単です。組織の多くの人たちが、そうした催し物を【自分たちのこと】と思っていないのです。誰かが「年間計画表」に勝手に書き込んでいるから、スケジュール通りにやっているだけ。あるいは、上司が「やれ」といっているから、やらされている。つまり、【自分たちの催し物】と考えていないので、どうでもいい・・・・。
    同じ「船(組織)」に乗り込んだ乗組員同士でありながら、この無関心さはどうしたことでしょうか。「目的」や「方法」も分かっているのに、「日常」では決して仲が悪いわけではないのに、どういうわけか、全体の行動になると、どこか醒めてしまっている。

    実は、多くの組織がこうした「全体の行動」に対して時として「丁寧さ」を失います。実際の日常業務に関してはあれほど細やかに対処しながら、「全体の行動」については粗雑です。何よりも「目的」を明確にしていないので、参加者が「何の時間」であるのかを理解していない。主催担当者も、そこが不明確なので、講演者の選定から会場の選定もおざなりになり、司会者までもとんちんかんな言動を取って、催し全体をぶち壊す。

    会社の中で業務上で「死人」を出したことのある「企業」の「安全大会」は、実に真剣で真摯なものです。冒頭の「黙祷」から始まって、社長や会長の「訓示」は緊張感にあふれ、仕組や状況を説明する担当者の言動にも「安全」に対する思いがこもり、参加者は姿勢を正し、その時間を過ごしています。
    新しい「乗組員」を迎える体制が出来ている「企業」の「入社式」は、いい意味での「緊張感」と「未来に対する思い」にあふれています。各世代の社員代表の「言葉」は、ある意味、組織全体に対して発せられたものであり、「部長級」の祝辞は、中堅幹部に対する「苦言」であったりする。参加者は、自分の姿と重ね合わせ、何度も頷いている。
    組織の「目的」を経営者が明確に示している「企業」の「経営計画発表会」は、組織にとってもっとも大切なイベントであることを、参加者全員が知っている。全員が知っているので、開会の準備から、関係者への対応から、イベントの内容から、全員が関わる仕組みになっている。全員が関わっているので、当然その催し物は盛会となる。
    そうしたプロセスを経た「催し物」での拍手は、心がこもったものになります

    真剣に「拍手」をする社員のいる企業は、見えない部分で「手を抜いて」いません

    さて、皆さんの組織の「拍手ぶり」はいかがでしょうか。

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