「組織は、人である」とは言い古された言葉ですが、その言葉は本質なので、いつの時代にも変わることはありません。
どんなに社会が成熟し、情報化が進んだとしても、それは変わりません。むしろ、人間が見えにくくなった現代において再び声高に唱えられるべき言葉でもあります。どんなに先進的な設備を揃えたところで、それを使うのは人間であり、それによって享受された機能を受け取るのも、また人間なのです。それを忘れ、組織の不備をインフラで補おうとすれば必ずしっぺ返しを喰らいます。
現実問題として、最新式の機械を持っている組織と、旧式の機械を使っている組織での生産性の比較では、単純に機械のスペック差が正比例して出てくるわけではありません。顧客の顔が見えて、日常のメンテバンスを怠らず、真摯に活動を続けている組織と、最新式にあぐらをかいた組織では、随分と組織としての佇まいが違います。
単純な話として、PCの性能を正確に理解した人間は、旧式のPCでもきちんとした成果を出しますが、ずさんな連中に最新式のシステムを与えても何も変わりません。
2枚の写真を見ていただければ、一目瞭然でしょうか。
一枚は、プレハブの事務所であり、一枚は自社ビルの組織です。
この写真を見比べれば、佇まい、という意味がお分かりいただけるのではないでしょうか。
経営は、ヒト、モノ、カネ、と言われますが、中小企業に関しては、「ヒト、ヒト、ヒト」です。
自社ビルであるか、プレハブの建物であるか。
旧式のシステムか、最新式の機材なのか。
田舎なのか、都会なのか。
若い組織なのか、ベテランが多い組織なのか・・・
こうした外敵要因は、さほど重要なことではありません。重要なことは、その組織を構成する人間の問題なのです。
経営者や経営幹部に、人を育てる意思があるかどうか。
その意思をどのように具現化するか。
2011年も残すところ2ヶ月余り。
激動と逆風の中の閉塞感は、来年のかなりの時期まで続きます。
今手を打っておかなければ、後日、必ず後悔します。時代変化と人材育成のスピード競争が始まっているからです。
さて、皆様方の組織に、そうした明確な覚悟と一歩を踏み出す勇気があるかどうか・・・。
ここ3週間ほど、出張が続き、HPの更新ができませんでしたが、その間、ずっとこの課題について考えてきました。
閉塞感を感じるのは人間であり、それを打ち破るのもまた人間です。決して、資金や最新式のインフラではありません。
自戒を込めて。
新幹線車中にて。