組織活性化コラム

テーブルクロス理論

    表題は、私の造語です。

    組織活性化を考えるとき、基本になる考え方のひとつです。

    組織が以前とは違う段階へ「ステップアップ」をするプロセスにおいて、一挙に【風景】が変わるということはまずありません。たとえ経営陣がすべて入れ替わったとしても、従業員が全員入れ替わったとしても、対象が組織である以上、その変化はプロセスを伴います
    テーブルの上に置かれたテーブルクロスをつまんで少し上に持ち上げてみる。テーブルクロスは周りを「引き連れて」円錐形に近い状態になる。改善の端緒はこんなイメージになる。つまりすべてが同時にある一定のレベルに上がるわけではなく、部分的に良くなることにより、ほかの部分も「引き連れて」良くなっていくのです。そしてその持ち上がる箇所を複数個所、全員でつくりほぼ全体の高さがそろったところで、テーブルの脚の継ぎ足しを行う。そしてテーブルクロスを離した時、前と違う高さのテーブルを人に見せることが出来る。

    そんなまどろっこしいことが出来るか!テーブルクロスをはずして、いっぺんにやってしまえばいいではないか、という話にはならない。
    テーブルクロスの目的は、客や使う人の目に直接テーブルの素材を見せず、清潔さや空間デザインのために行う。テーブルクロスをはずすとは、改善が終わるまで営業を止めてしまう、すなわち休業をして改善をすることです。今をしのぐ業務の中で改善を進めなければならない苦しさはそこにある。業務は止められないのです。

    テーブルクロスに関しては、もっと怖い話がある。
    組織において、何かひとつだけが部分的に悪くなると言うことはない。綺麗に平たく並べた積み木のように、ひとつだけがストンと落っこちてくれればいいのだが、実際にはそうならない。ひとつ、あるいは何かが落ちてゆくときには、先ほどと逆の現象が発生する。
    つまり「引き連れて」落ちてゆく・・・・
    誰か一人のモチベーションが落ちるということは、その人だけが落ちていくということにならない。周りを「引き連れて」落ちてゆく
    落ち始めると、それは際限なく周りを「引きずり込み」まるでブラックホールのようにすべてのものを飲み込んでゆく。
    組織における、コミュニケーションやモチベーションの維持がなぜ大切なのか、理由はそこにある。
    経営者や経営幹部が必死で笛を吹き鳴らすのだが、動かなくなってゆく組織をたくさん見てきた。下に向けての「引き連れ」はなかなか止められない。

    自分たちの所属する組織をテーブルとして心静かに眺めてみればいい。どこかが異様に下がっていないか。「引き連れ」を起こしてはいないか・・・・・。

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