企業組織とコミュニケーションが取れるようになると、「会議」への定期参加を要請されることがあります。「経営会議」「営業会議」「工程会議」「生産管理会議」「安全会議」「開発会議」「改善会議」・・・・。呼び名はさまざまですが、組織の【現在】と【これから】を本気で考えると、「会議のあり方」は、組織活性化の重要な要素です。
気をつけておかないと、「会議」は独りよがりなものになりかねません。そもそも「なぜ会議を開催しなければならないのか」という前提があいまいなまま行っているケースが少なくなく、「昔からやっているから」「社長がやれというから」「よその会社もしているから」などという消極的な会議もあります。
そうなると、会議がどうしても「報告会」になってしまうのは仕方ないことなのかもしれません。
気をつけておかないと、「これだけ先月(先週)はやったよ!」というアリバイ作りに会議が利用されている恐れがあるのです。
会議にはいくつか目的があるのですが、「情報共有」「情報展開」「情報計画」は昨今重要です。時代変化が思いもかけぬ方向へ向かうので、絶えず組織的な修正が必要なのです。「売上」「利益」「顧客」「地域」「業界」「育成」「採用」「などという組織的情報を共有しておかなければ、組織として戦えない。一人ひとりの構成員の能力を磨き上げるとともに、組織として、「情報」という武器も持たなければなりません。
今年7月に書いたメルマガ「南風通信」の記事を再録します。
こんにちは。戸敷進一です。
このところの経営環境の「変化」は予想もできないほどに速いようです。
日経新聞のアンケートに対して、100人の社長のうち4割近くが、円高の是正や税制の見直しがなければ、3年以内に生産拠点を海外へ移転すると答えたようです。震災に伴う政策の棚上げ、エネルギー政策の迷走による電力不足に対する懸念が広がっているので、一気に製造業の移転が進み、日本
産業の空洞化が進みそうです。生産拠点の海外移転は前から言われていたことではありますが、「3年以内」「4割近くの経営者」というところに時代が加速している様子が伺えます。
基本的に組織は時代変化に「合わせて」変化する必要があります。場合によっては時代変化に「先駆けて」変化しなければなりません。人口が増えて、右肩があがっている時代にはそれに合わせた変化が求められ、現在のように少子高齢化が進み、グローバルな視点が求められる時代にもそれなりの変化が求められます。
もし変化ができなかったとすれば、顧客に見捨てられ、そのまま消え去ってしまわなくてはなりません。顧客に見捨てられるということは、社会的な存在価値がなくなったということですから、役目を終えた組織ということです。たとえその組織が持っている商品やサービスにニーズがあったとしても、その販売方法やサービスの提供の仕方が時代にあっていなければ、やはり役目を失っています。
同時に、地域の変化も影響を与えます。かつて10万人いた人口が3割、4割減少しただけで、その組織の存在価値は薄れてしまうかもしれません。顧客のニーズは絶えず変化しますから、適切な情報提供ができなかったり、苦情処理やクレーム対応を適切に行えないだけで、一気に顧客を失ってしまうことがあるかもしれません。
組織が「情報収集」を積極的に行わなければならない意味は、この「時代変化」に対応するためです。何も「業界情報」や「営業情報」だけのために情報収集をするのではありません。
軍隊の情報収集活動で最も重要なものは、「敵の目的」です。その目的が明確でなければ、敵の兵力や位置が分かったところで、有効な迎撃体制を作れません。逆に「敵の目的」が明らかであれば、どのような守備体制でも取ることができます。
組織における情報収集は、「時代の方向を探る」ということになるでしょうか。時代がどちら側に向かっているかを知らなければ、社内体制を整えることもできず、武器を準備したり、人間を育てることもできません。
組織の中で、週に何度か月に何度か「会議」をやりながら、「時代変化の方向」について情報共有を行っている中小企業は少ないようです。
商品やサービスの時代適応力は?
顧客の増減、顧客の幅は?
社会の動き、地域の動きは?・・・・
政策の棚上げが続き、おまけに電力の不安定さや円高や米国債の格下げ予測など、読みきれない混沌とした状態です。半歩先、一歩先を読み解き、進むべき道を定めましょう。
早急な、全社的な取り組みが必要です。
今週もお元気で。
戸敷でした。