最近「後継者」にまつわる講演依頼が多い。
理由は簡単です。時代変化が余りにも早く、かつ質の変化まで伴っているため、従来の「経験知」を重視した「後継者」育成では、間に合わなくなっているのです
かつて若い頃に小さな会社の後継者として組織の中にいた経験と、その頃の友人たちの多くが後継者を経て経営トップとなったプロセスと、ここ10年ほどのコンサルタント経験から、その「後継者を取り巻く環境の変化」がよく見える。

「経営者の身内であること」
「誰々を知っていること」
「業界内で名前を知られていること」
「業界ルールに精通していること」・・・・

そうした「従来」必要だと思われていた後継者にとって必要な「経験知」のウェイトは、以前よりずいぶん軽くなっています。逆にそうしたことを基準として「後継者を選定」した時、その企業の行く末がどうなるかを考えると、少々怖いものがあります。

現在「後継者」を考える時、条件は3つあります。

後継者は、育たない、ということです。
黙って待っていて、後継者が組織の中から自然に出てくるわけはない。漠然と、息子や娘、あるいは義理の息子に期待したところで、彼らがこれからの時代に合った「経営者」としてふさわしいかどうか、判りません。むしろ、身内であることに胡坐をかき、漫然と組織の上に乗っかった「馬鹿後継者」を散々見てきました。勉強をするわけでもなく、自己研鑽に勤めるわけでもなく、業務の中で愚痴ばかりを並べ立てる、変な「後継者」を見てきました。つまり、待っていても「後継者」は育たない。

つまり、後継者は、育てろ、ということです。
時代変化の速度は速く、なおかつ質の変化を伴っています。「時代変化」「社会変化」「組織変化」という荒波が組織に押し寄せています。人口は減少し、なおかつ高齢者社会は急速に進みます。社会制度は大きく変り、価値観も変ってきます。その時、何を売るか、誰に売るか、どのように売るかを「考え」「行動し」「組織を引っ張って行く」人間として、「後継者」を育てなければなりません。そしてそれは、組織内だけで出来ることではありません。組織改革、人材育成、必要なスキル、ビジョン構築、ネットワーク再構築・・・・。多くの専門家から学び実践していく必要があります。

そして、「後継者」の年齢、という問題があります。
一般的に、「経験知」が重要であった右肩上がりの時代ならば、ある程度の期間を経て「経営者」に就かせることが出来ましたが、今はそうした悠長なことを言っている時代ではありません。時代変化と共に、経営環境は大きく変っています。ITを礼賛するわけではありませんが、今時、ネットも使えず、メールひとつまともに交わせず、市場調査ひとつ自分で行えず、自社分析も出来ないような人間に、後継者を名乗る資格などありません。
数年前、ある団体の「青年部」に呼ばれ、講演をしたことがあります。その時、参加者の余りの態度の悪さと、危機意識の薄さと、馬鹿さ加減に「切れて」しまい、講演の終了間際に、こう叫んだことがあります。
「今の社長が、いくつで独立したかを思い出してください。自分の今の年齢から、今の社長が独立した年齢を引いてください。その差が上に10歳以上ある人たちは、自分たちのことを後継者だと名乗ってはいけません。名乗ることを恥だと思ってください。あなたたちの年齢の頃、今の社長は当代として必死に戦っていたのではないか。それを忘れて青年部という言い訳はしないほうがいい」
最前列に居並ぶ40歳を越えた青年部の幹部たちの顔色が見る見る変りました。
今の時代、40歳を越えて、後継者というのがどれだけおかしいことであるのか、右肩上がりの「楽な時代」を過ごしてきた組織は判っていない。少なくとも、真の後継者とは「25歳から35歳まで」を指すのです。

「後継者は育たない」「後継者は育てろ」「年齢を考えて」というのが、現代の後継者の条件です。