とじき雑感

組織の「明るさ」

    一般的に「明るさ」は、ふたつの【単位】で示されます。

     

    th_00297ひとつは、その場所の明るさを示す「ルクス」。もうひとつはそこを照ら す光源の強さを示す「ルーメン」です。 簡単に言うと、「ルクス」は「光 に照らされた面の明るさ」を示す単位のことであり、「ルーメン」は「照 明器具そのものの明るさを示す単位」ということになります。 「ルーメン」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、講習会やセミナー などで部屋の照明を暗くしてプロジェクタの画面を見ることがあるのは、そ の「プロジェクタ」の「ルーメン」が低いためです。
    「ルーメン」が高い プロジェクタの場合、部屋を暗くしなくても画面を認識することができま す。

     

    企業組織と深く関わっていつも思うのは、その組織を構成する一人ひとり の「個人」は明るいのに、それが組織の中の動きに関わったとたん、その 輝きを失い、暗い組織になってしまうことがある、ということです。
    例えば、会議で活発な意見が出ない。
    仕事に関する会話が少ない。
    その場を構成する人間の顔ぶれでその場の空気が変わる。
    蔭で、上司や個人の悪口を言う。
    ミスを隠す・・・・。

    いくつもの組織を見ているので、組織によってのその「差」が良く見えます。
    その暗さは、「部署」によって違うこともあれば、「部門全体」「組織全体」 に及ぶこともあります。そしてその原因が「個人」にあるわけではないという ことも分かります。一人ひとりは、個別に話をすると決して暗いわけではあり ません。つまり「光源」の問題ではなさそうです

     

    組織に遮蔽物があるときに、暗さが生まれます。
    「セクショナリズム」という のはその遮蔽物です。
    日常の「個人の動き」が「部署の成果」につながり、そ の「部署の成果」が「全体の成果」に繋がっていることを遮蔽しているものが どこかにあるのではないか。逆に言えば、「全体の目的」が「部署の活動」に どのようにつながり、それが「個人の動き」によって決まるのだという説明が 組織の中に不足していないか。
    一般的に、「組織の明るさ」は、「組織のコミュニケーション」と密接に関係 しています。「明るさ」も「コミュニケーション」もどちらも抽象語であるた めに、組織では伝えづらい問題です。そこに「遮蔽物」がありはしないかと考 えると、組織の中でいかに「縦横の説明」が欠けていたのかが分かるかもしれ ません
    組織がもし暗いとするならば、それは「光源」と「面の明るさ」と「遮蔽物」 の関係によります

    なぜ、電話での対応をきちんとしなければならないのか。
    なぜ、今月の売上を達成しなくてはならないのか。
    なぜ、日報や週報を提出しなければならないのか。
    なぜ、会議に参加しなくてはならないのか。
    なぜ、なぜ、なぜ・・・・。

     

    組織の中の、誰かがその「なぜ」を問いかけ、答え続けない限り、組織は自分 達の課題に気付きません。 古い電球や照明器具の下で働いたり生活を続けていると、「暗さ」には気付き ません。ところがある日、電球を換えてみたら随分と明るい。そんな経験はあ りませんか。昔からある棚を移動したら、部屋が随分明るくなったということ はありませんか。
    機械や人の持つ能力のことを「パフォーマンス」と言います。その「パフォー マンス」を最大に発揮するために、組織で取り組まなければならないことはた くさんありそうです。

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