優秀な幹部と、若い社員たちで構成された可能性に満ちた企業でした。
企業のどこを切り取っても、みずみずしい活力があふれ、成長が約束されているように思える。確かに企業は成長を続けていた。時代の風に乗り、順調に伸びているように見えた。
少し時代が変わって、従来のやり方では望むような成果が得られなくなった。仕事が取れない。利益が出ない。組織が思っていたほど先進的ではないことが分かった。少しずつ組織がきしみ、不協和音が聞こえてくる。従来型のやり方に固執する者、新しいやり方を考えようとする者、日和見を決め込む者。機能性が失われ、組織がばらばらになりかけた。
何とかしなければと動き出したとき、もともと持っていたみずみずしさが生きて、いっぺんに組織が変わったように見えた。若い社員たちが率先して動き、それなりの変化と成果が得られ始めたように思えた。
しかし、どこかで「空回り」をする。肝心な部分で踏ん張りが効かない。表面的には変化して、それなりの成果が上がり始めたているので、誰もが納得しているのだが、傍から眺めて、もどかしさが残る。
若い幹部と何度も話し込み、根本の原因を探る。時代変化は加速する。「空回り」をした状態では、この大変化の時代を乗り切れない。加熱する競争の中で、勝ち残ることが出来るのかどうか・・・・。
一番気になったのが、全社に一体感が感じられない。正確に言えば、見せかけの一体感であり、その部分の改善をもう一段深めなければならないのではないか・・・・。
組織の末端を担う若者たちから、原因を教えてもらった。
仕組みの中に【「特別」の例外】があるのです。
【「特別」の例外】、すなわち、「社長だけは別」という暗黙のルールが組織の中にある。組織全体で決めたことを、まず「社長」が破る。若手がおずおずとルールを持ち出すと、社長が笑いながら一喝する。
「俺は別だ!」
その組織の「空回り」は今も止まらない。
またどこからか、組織の軋みが聞こえてきた。
若手の幹部たちがSOSを送ってくる。
【「特別」の例外】。
それは組織の何物かを、ぶち壊す。