とじき雑感

「企業サイクル」を考える

    企業が顧客に提供する「商品」や「サービス」には、【サイクル】があります。

    挑戦・・・・・活動や販売を始めてたばかりで、結果が出ていない状態
    成長・・・・・・挑戦が実を結び、結果が出始め、売上が伸びている状態
    安定・・・・・・組織の主力商品・サービスとして顧客に支持されている状態
    成熟・・・・・・主力であることは変らないもののわずかに時代遅れになりつ つある状態
    衰退・・・・・・すでに顧客から見放され、主力商品・サービスとしての役目を終えた状態

    つまり、どんな商品・サービスも「挑戦~成長~安定~成熟~衰退」というサイクルを経ていきます。
    たとえば、建設系企業における「公共事業」というカテゴリーは現在どの段階にあるのでしょうか。旅館やホテルにとって「修学旅行生」という顧客は、現在どの段階にあるのでしょうか。直近の例で言えば「iPhone」に代表される「スマートフォン」などという商品は、現在どの段階にあるのでしょうか。
    企業のマーケティングを考えるときに「商品・サービス」分類をまず行いますが、自社の商品やターゲットとする顧客を、上記の5つのカテゴリーに分けることか始めます。その結果、成熟や衰退に該当する項目が多かった場合は、かなり「ヤバイ」状況ということになります。つまり、伸びしろがあまりないわけですから、今後の展開はかなり厳しくなってしまう。逆に、5つのカテゴリーがバランスよく配置されていた場合には、ある程度の将来設計が描ける、というわけです。

    実は、時代変化の速度が急速に上がってきたために、「企業のサイクル」も変わってきました。社歴などに関わりなく、自社の「状況」をきちんと把握しておかなければ、この先が見えなくなっています。

    ITや地域人口構成比や国際競争の中で、もっとも危険な状況にあるのが「安定企業」です。「成熟企業」や「衰退企業」には、組織内に十分な【危感】がありますから、情報に敏感であり、同時に改善意欲や組織的行動に比較的移りやすいのですが、今が「食えている」企業には、それらの要素が希薄です。危機感が薄いので、組織の仕組みが甘くなり、それらが次の「成熟」や「衰退」への道筋を早めてしまい、一気に力を失っていく可能性が高いのです。

    社歴の浅い企業は、創業の「意気」を思い返すべきであり、社歴の長い組織は、「第2創業」の志が必要です。

    鳴り物入りで世界に販売を開始した「3Dテレビ」市場において、日本のパナソニックが大苦戦をしています。すでに世界的なブランドとなった韓国のサムスンに圧倒的な差をつけられているといいます。本来、技術的には日本の方が上と言われながら、販売戦略において負けているというのです。こうした現象は、商品のサイクルの問題ではなく、また販売戦略の問題でもなく、企業としての「サイクル」の問題が関わっているのではないでしょうか。挑戦企業なのか成長企業なのか、安定企業なのか成熟企業なのか・・・・・。その差によって結果的な「販売」の段階で差がついてしまっていると考えたほうが良い。

    さて、皆さん方の組織は、どのカテゴリーに属していますか。
    油断をしていると、安定だと思っていたのに、成熟を通り越して衰退企業になったりしないかどうか・・・・。
    日常の業務から離れ、一度精密に「自己評価」する必要があります。

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