以前、防衛大学校教授から「組織論」に関する話を聞かせてもらったことがあります。
日本では、軍事の専門家の話を聞く機会などなかなかないのですが、そこで繰り広げられる「組織論」は、ものの見事に、組織という集団の機能について本質を突いていました。
冒頭の
「危機に際して、一瞬で対応できる集団」
という極めて、現実的、かつ簡潔な定義から始まり、その集団を作り上げるための「教育訓練」の思想と仕組みは、実際の社会の中でも十分に理解できるほど本質に根ざしていました。
そして、組織の運用に関して
「対案を出せ!」
というこれまた分かりやすい、意思決定プロセスの話も新鮮でした。
実際の社会にある多くの組織では、「何となく反対」という雰囲気優先の空気の中でことが進められるケースが少なくないのですが、絶えず戦場を意識した組織では、簡単明瞭な仕組みが取り入れられています。
「対案を出せ!」
何と、シンプルな仕組みでしょうか。
会議の時、こんな発言はしていませんか。
「今の意見について、何か意見のある人はいませんか?」
こんな言い方は、今日から止めたらどうですか。
「今の意見について、対案を出せ!」
そしてその対案を審議して、最後に残った案が最善に近いものである可能性が高い。
命を「的」にした組織は、仕組みがシンプルであり、なおかつ分かりやすい。
おそらく、人類が進化して社会を営んだ時に最初に「会議」をしたのは、軍事ではなかったか。自分たちの身をいかに守るか、ということは集団の中で優先順位が高いものであったに違いない。つまり、「軍事」に関わる思想は、歴史が長く、また時とともに進化したのだろう。
時に、異質なものと出会うとき、「根源」について考えるきっかけを与えられる。
「その意見に反対なら、対案を出せ!!」