とじき雑感

「伝記」の人たち

    土曜日に鹿児島へ出かける用件が「順延」になったので、久しぶりにゆっくりとした朝になりました。当然仕事は詰まっているわけで、すぐに頭を切り替えて、早めに動けばいいものを、ほっかりとした気分はなかなか収まりません。ぼんやりとテレビをつけたまま、午前中を過ごしました。
    チャンネルを切り替えて観ていたテレビ番組は、日本の「宇宙技術」を紹介しているものでした。顔だけ知っている若手のタレントが、日本人宇宙飛行士やJAXA(独立行政法人「宇宙航空研究開発機構」)を訪問し、現在の技術レベルや今後の開発工程を紹介していました。思わず引き込まれたのは、宇宙技術に関わる人々が子供の頃に「どれだけ宇宙にあこがれていたか」ということを丁寧に伝えていたことでした。子供の頃の「夢」を現在の職業までつないだ幸福な人たちのドキュメンタリーだとも言えそうな番組でした。

    その中で、全国の小学校を回って「手作りロケット実験」を実際に行なっている植松電気の専務さんの紹介がありました。
    「子供達に夢を!」
    という実にユニークなシーンの連続でした。何よりも子供達の笑顔と歓声がすごかった。おそらく普通の授業では味わえない「感動」を受け取ったのではないでしょうか。
    冒頭、生徒達に植松専務さんは、ロケットの部品を手渡してこういいます。
    「私は何も教えません。学校ではいろいろ教えてくれるでしょうが、社会というところは人がやっていることを見て、盗んでいろいろなことを覚えていくものです。今日はカンニングをしましょう!」
    さすがにこんな台詞は、学校の先生は言えない!。
    北海道で、宇宙技術開発を続けている企業の取組みは、すさまじい失敗の連続だったそうです。
    「なぜあきらめなかったのですか?」
    番組スタッフの質問に、専務さんは笑いながら簡単にこう答えました。
    「だって、どんな人の伝記を読んでも、あきらめた人の話は出てこないんですよ!」

    土曜日の朝、いい番組を見ました。

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