組織の中には、いくつもの「不都合」があります。ただし、その多くは「小さな不都合」なので日常では見逃しがちです。
提出締め切りになっても、報告書が出てこない
領収書や納品書が行方不明になる
社内できちんとした挨拶ができていない
遅刻者がいる・・・・
いずれにしても些細なことなので、その時は注意するのだけれど、それらが組織の根幹に関わる重要なことだとは考えません。
ところが「組織内」でできていないことは、「組織の外」では実現できないのです。
「練習場」とは、やり直しや修正が出来る場所ということです。そこには「教師」や「コーチ」がいます。もしそうした人たちがいなくても、「やり直す時間」があります。人や組織が鍛えられる場所は「組織の中」にしかありません。
「練習場」で失敗することは許されます。しかし「本番」での失敗は即敗北へつながります。「本番」での失敗は、衰退への入り口です。「小さな不都合」を見逃すということは、自分たちが「落ちて行き始めていること」の前兆です。にもかかわらず、些細なことなので人はそれを見逃す・・・・。
社内で報告書がきちんと出ていないので、顧客への見積もりが遅れてしまう。
組織の「利益」に興味がないので、納品書や領収書が行方不明になる。
客にきちんとした挨拶ができないのでまともに相手をしてもらえない。
組織をなめているので、遅刻する・・・・・・
一見、些細なことの根っこに潜んでいる「衰退の原因」は、組織の浮沈に関わることなのですが、組織の中の誰もそれを指摘しない。なぜならば、経営者や経営幹部が「組織」へ興味がないからです。
8年ほど前に縁のあった組織が「倒産」しました。帝国データバンクから毎週送られてくる情報誌でそれを知ったのですが、ショックが小さくありませんでした。優秀な若者たちがいたにもかかわらず、頑迷で物事を軽く考える経営者の間で、私自身随分「きつい思い」をしたものでした。
「小さな不都合」を見逃し続けていると、いつか痛い思いをします。
自戒を込めて・・・・。