クライアント先で、企業の「朝礼」や「会議」にオブザーバーとして参加することがあります。
「机の上」よりも、「現場」が好きな私には、苦にならない仕事です。そうした場に身を置くことで、普段は見えない「企業の風景」が見えたりします。
朝6時からの「安全点検」に参加するために、宿泊先で朝食も取らず、5時45分に資材置き場に出かけたら、社長を含め30名ほどの社員やオペレーターが全員すでに集合し、一台一台作業車両の点検をしている風景を北海道で見たことがあります。よく考えたら、その企業の「会議」や「研修」で、遅刻者を見たことがない。【全社一丸】というスローガンが掛け声だけではない、まさに【形になっている】実例です。
月に一度の「安全集会」が、午前7時からあるという。黙って6時半にその企業を訪れたところ、70名ほどの全社員で、本社や敷地内だけではなく、隣接する道路まで一心に掃除をしている風景を鹿児島で見たことがあります。誰一人寝ぼけた表情をしていない。きびきびと全員が動き回る姿は、【戦う組織】の好例です。
四国のある企業の「経営会議」に4ヶ月連続で参加したことがあります。渡された資料には、各部・各関連会社の幹部たちの着席する場所まで「指定」されている。当然「遅刻者」などいるはずもない。定刻通りに会議が始まり、実に的確に「幹部たち」の報告が始まる。会議終了は、予定時間を3分も上回らない。その真剣さと手順の進め方は、「能」を思わせるほど、計算しつくされていて、快い【緊張感】に満ちています。
一度だけ、会議の冒頭で、珍しく社長が語気を強め、顧客アンケートの一部を読み上げたことがありました。
「知っているのなら、何故最初に教えない!」
顧客との打ち合わせの中で、技術や手順に関して、意思の疎通を欠くような出来事があったのでしょうか。具体的な物件名を挙げての指摘でした。
ハプニングと言っていいようなその社長の発言がよほど印象に残ったのでしょうか。手元に残っている頂いた資料の表紙に、その社長の言葉が書きなぐられ、幾重にも丸印が記されています。
【緊張感】あふれるそうした【現場の空気】が私は好きです。
それらの企業の「利益」はどうなのかって?
馬鹿なことを訊かないでください。
「全社儲かってるに決まっているじゃないですか!!」