人間は「思い込みの生き物」なので、時折、スケールを正しておかなければ、勘違いを始めます。
例えば、人口。
中国の13億人やインドの11.9億人は知っていても、アメリカの3.1億人、インドネシアの2.3億人、ブラジルの1.9億人までは覚えていない。
ましてや、パキスタンの1.8億人、バングラディッシュの1.6億人、ナイジェリアの1.5億人、ロシアの1.4億人も忘れていたりする。それを知っていなければ、パキスタンがなぜ「核兵器」を保有しているかの意味が理解できなくなる。同時に、1.1億人のメキシコや9千万人のフィリピンや8千8百万人のベトナムも覚えておかなければ、これからの「グローバル社会」の流れを見失いかねない。
フランスの6千2百万人、イギリスの6千百万人、韓国の4千8百万人、北朝鮮の2千3百万人くらいは忘れないほうがいい。
以前、北朝鮮や韓国の「脅威」を一生懸命語る人に、それぞれの人口を聞いたところ、言葉に詰まってしまったシーンに遭遇した。「脅威」は「脅威」として、相手国のスケールくらい理解しておいて貰わないと、話に説得力がないような気がするのだが・・・・。それでも、いかに北朝鮮が脅威かを声高に言い続け、周りが少々困ってしまったので、意地悪な気分になって
「北朝鮮のGDPが、宮崎県や高知県や鳥取県のGDPより低いのですが・・」
と言わせていただいた。
歴史のスケールもそうかも知れません。
中国史の年表を眺めていると、気が遠くなるような気分になります。
国の始まりと言われる、「夏」は、紀元前2100年の頃の国で「殷」は紀元前1600年、「周」は紀元前1027年の成立です。
歴史上、かなり有名な「釈迦」の誕生は、紀元前1024年です。うーん、「キリスト」が誕生する1000年も前の人物です。
「春秋」「戦国」時代は、およそ800年続きます。
日本でも少々有名な「孔子」の誕生は、紀元前552年です。「孔子」と似たような時代の人だと思っていた「孟子」は、「孔子」より200年余り後の紀元前372年生まれです。
古代エジプトの紀元前3000年や、古代ギリシャの紀元前2600年は、漠然と理解していましたが、このあたりの「スケール」を意識していないと、オクタウィアヌスの登場による紀元前27年の「ローマ帝国」の誕生が良く分からなくなる。
もっとも「西暦」という表記は、6世紀のローマの神学者ディオニュシウス・エクシグウスによって算出されたものであり、実際に西欧で一般化されたのは、15世紀以降ですから、その時代を生きた人々が「紀元前」など意識していたわけではありません。
「西暦」という概念ですら、たかだかここ400年ほどの概念である、という「スケール」も改めて認識しておきたいと思います。
ちなみに、最近の研究では、イエス・キリストの誕生は「紀元前4年」で、イスラム教の開祖「ムハマンド(モハメッド)」の誕生は、「紀元後570年頃」で、日本の「聖徳太子」と同年代の人です。
人間は「思い込みの生き物」なので、時折、スケールを正しておかなければ、勘違いを始めます。