組織活性化コラム

「船長」の出番

    海が穏やかであれば「船長」の出番は少ない。

    「行先」は明らかで、なおかつ「旅程」にも余裕がある。「乗組員」の顔色は良く、「役割分担」もしっかりできている。いつものように船に乗り込み、所定の手続きさえ済ませてしまえば、あとは「オートマティック」に船は出港する。
    穏やかな海を渡るとき、「船内」においてもっとも大切なものは【秩序】です。決められたことを決められた通り、きちんとこなしていくこと、これが最も大切になる。さまざまな動きの中で「手抜き」は許されず、なおかつ「いさかい」も許されない。
    「船長」は威厳をもって「乗組員」に接し、その他はにこやかな微笑みを浮かべ「乗客」たちに愛想を振りまいていればよい。進路は「航海士」が管理している。エンジンや船体の様子や燃料は「機関士」がチェックしているし、飲料水や食料は「担当者」がきちんと確保してくれている。
    こんな時の「船長」ほど、楽なもはない。
    「船長」が望むものは【秩序】であり、要求されるものは【マネジメント力】です。そのために、「船長」は普段から、「乗組員」とコミュニケーションを深め、教育訓練を行っている。何も心配することはない・・・。

    進路の先に「嵐」が予想されてくると、にわかに「船長」の周辺は騒がしくなる。このまま進むべきか、迂回すべきか、あるいはどこか安全な所に投錨して「嵐」を避けるべきか・・・・。「波」が荒くなると、船体の様子が気になる。この「波」の中でどこか痛んだりしないだろうか・・・。食料や水は安全な状態に保たれているのか・・・・。「乗組員」はへたばたっりしていないだろうか。新人たちは「不安」にとらわれたりしていないかどうか・・・・。「積荷」に異常はないか・・・・。「乗客」へ心配することはないということを誰が伝えるのか・・・・。
    真の「船長」の力量が問われるのは、こうした時です。
    その時「船長」に必要なものは、【適切な指示】であり、要求されるものは【リーダーシップ】です。【秩序】にこだわり、時期を失ったうやむやな「指示」は、「船」を危うくする・・・・。

    「嵐」の中にいるのだが、まだ「船長」から指示が出ていない ?
    5mを超える「波」が押し寄せているのに、船長はまだ船長室に籠ったまま?
    風速40mを超えて「航海士」は迷い、「機関士」は油にまみれ、新人たちは蒼ざめている。「船体」はきしみ、「乗客」は顔色を失い、「積荷」は崩れかけているのに、「船長」からはまだ【指示】は出ない・・・・。

    【マネジメント】と【リーダーシップ】の違い。
    【治世】と【乱世】の違い。

    「社長、分かっているかい?」
    「後継者、分かっているかい?」
    「幹部たち、分かっているかい?」

    「船長」の出番なんだけどねぇ・・・・。

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