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日本女子サッカー代表チームを「なでしこジャパン」と呼ぶようになったのは2004年からです。その年アテネオリンピックがあって、開幕式の前日に女子サッカーの予選リーグが始まり、「なでしこ」はスウェーデンに1:0で勝ちました。深夜テレビでその試合を観てから、密かに「なでしこファン」です。何しろそのスウェーデン戦は壮絶なものでした。大柄な西洋女に蹴られても倒されても闘い続け、最終的に勝利を手にしたチームの姿に大いに感動したものでした。
2008年の北京オリンピックの時には当時書き続けていたブログにこんな文章まで書いてしまいました。
〜北京オリンピックが終わって、新聞の片隅に女子サッカーに関してこんな記事を見つけた。ドイツ戦終了後、負けた瞬間他の選手が泣き崩れている最中に、10番の背番号をつけた沢選手が、途中出場のFW丸山選手に駆け寄り「もっと守備をしようね。今日のあなたのポジションはFWではなかったから。頑張ろうね」と声をかけたと言う。ドイツ戦は3位決定戦でした。勝てば銅メダル。結果は0−2の敗戦でした。悔しくないはずはない。泣きたくないはずはない。にもかかわらず、沢選手は後輩に負けた瞬間、他の選手が泣いている最中にそう声をかけたのだと言う。
「終りの始まり」メダルは取れなかったけれど、女子サッカーの選手たちがプレイ中、最後まで下を向かなかった理由がそこにあるような気がした。「次」が見えていれば、「終る」ことは怖くない・・・。〜

いささか感傷的な文章だが、何となく人を引きつける魅力のあるチームだったのです。その後試合をするごとに強さを増し、4年前にはワールドカップまで制してしまったのは「隠れなでしこファン」としては感激の極みでした。
当然今年のワールドカップも「全試合を録画して」観戦しました。

結果は「準優勝」でした。体格とパワーに劣る民族代表が世界にその力を示したことは実に嬉しい。ワールドカップ優勝、オリンピック準優勝、そして再びワールドカップ準優勝という戦績は見事としか言い様がない。優れた指揮官とスタッフ、そして結果を残した選手たちに惜しみない拍手を送りたい。
しかしながら、今回の試合の中で気になったことが一つありました。様々な報道の中で、「(決勝の行われる)バンクーバーに帰ってくるのが目標だった」「(準決勝に勝って)やっとスタートラインに立てた」という宮間キャプテンの言葉が何度か聞かれました。前後の話を組み上げると「優勝して結果を残し、前回ブームで終わった女子サッカーを文化にしたい」という自分たちの使命に基づいた言葉なのですが、それを具体的に示そうとした時「バンクーバー」と「スタートライン」という言葉になったようでした。何度かその言葉を報道で知った時、思わず自分のメモ帳に「まずい言葉??」と書き込んでしまったのは、個人の中ではストーリーとして完結した言葉でもそれが本当に他の選手に伝わっているかどうかを危惧したからです。微妙な心のひだや使命感などという抽象的な事を他人に伝えるのは難しいことです。それを言葉にするときには丁寧さと緻密さが要求されます。「スタートラインに立って試合に勝ち、もう一度優勝の表彰台に立とう!」ということは暗黙のうちに理解されていたとしてもリーダーの口からそれが語られたとしても、ひょっとすると誤って他のメンバーに伝わってしまうかもしれない。つまり、目標が「決勝へ進むこと」になりはしないか・・・。
本気でそれを心配したのは、準決勝でイングランドに勝利した後の選手や監督のインタビューの姿にありました。同点で迎えた後半47分の相手方オウンゴールで勝ったという劇的な勝利でしたが、どの選手の顔にも達成感がありました。試合終了後、あまりの嬉しさに選手たちがグランドで「エグザイルダンス」を披露した姿を見て、かすかな不安を覚えました。佐々木監督も、準々決勝までは試合終了後マスコミの取材を受けている複数の選手を強引にバスに乗り込ませる程の緊張感を持っていたはずなのですが、準決勝の勝利後は素直に選手と一緒になって決勝進出を喜んでいました。
決勝前日の練習も、それまでは前半15分で公開練習を打ち切り残りは報道陣をシャットアウトして非公開で行っていたのですが、全面公開になっていました。対する米国が監督、コーチ、選手が目を吊り上げて15分だけ公開練習を行い、その後非公開練習であったのと対照的な対応でした。

数年前、ある教育者と話をした時のこと。
「とじきさん、大学に合格することを目的にした子たちは大学で勉強をしません。大学合格が目標ですから、目標を達成しているので残り4年間を謳歌してしまうんですな、ところが、大学に入って何かを学び、卒業後これをやりたいと考えている学生はよく勉強をします。彼らにとって大学合格はプロセスですから、その後の事のほうがはるかに大切なんです。目標の設定の仕方は大切ですな」

なでしこジャパンのワールドカップ準優勝にけちをつけようなどとは一切思っていません。素直に「いちファン」として喜んでおります。しかしながら、リーダーの言葉には魔力があります。その魔力は強いので、使い方を誤ると大きな齟齬の原因になることもあります。「バンクーバーに帰ってくる」「スタートラインに立つ」その言葉が選手たちや監督にまで魔術をかけてしまっていなかったかどうか・・・。結果論ではなく、今回そんなことを考えました。
格下のシンガポール相手に20数本のシュートを放ちながら、一点も入れられなかった男子サッカー代表に比べれば「なでしこジャパン」は別格のチームです。毎回「スポンサー」に気兼ねして使ってはならない選手を延々と使い続け、若い芽を摘み続けている利権だらけの男子サッカーは恥を知れ!!

すみません。サッカー経験もない中年おっさんの独り言です。笑って下さい。誰のファンかって?決まっています「旧姓 永里・大儀見優香」です!なでしこジャパンの中で「自分の役割」を一番わかっている選手ですから。