世の中が「多様性」に満ち始めたのは【1996年】からです。
その前の年に「Windows95」が発売され、携帯電話が普及し始め、IT元年として高々に新しい時代の到来が叫ばれて以来、情報の量と速度が尋常ではなくなり、社会は「混沌」を内在した多様性の時代に足を踏み入れました。
そしてその「多様性」は、「価値観」の再検証を我々に迫っているようです。
朝日新聞の記事です。
日本うつ病学会は20日、北九州市で開いた総会で、自分の好きな仕事のときだけ元気になるなどの 特徴がある、いわゆる「新型うつ病」について、企業は患者を排除せず適切な診断が必要だと訴えた。
新型うつ病の特徴は(1)自分の好きな仕事や活動の時だけ元気になる
(2)「うつ」で休職することに あまり抵抗がなく、休職中の手当など社内制度をよくチェックしている
(3)自責感に乏しく会社や上司のせいに しがち――などと紹介。同学会は昨年7月に初めてうつ病の治療指針をまとめた際、「医学的知見の 明確な裏打ちはない」と新型うつ病を指針の対象外としたが、悩んでいる患者は少なくなく、うつ病や適応障害、 人格障害など、適切な診断が必要とした
総会会長を務めた中村純産業医科大教授は「患者はコミュニケーションが下手な傾向があり、 精神療法が効果的なことが多い。企業は患者を職場で排除的に扱わないで欲しい」と話した。
一般的に(1)〜(3)のような態度は、単なる【ワガママ】と呼ばれていました。それを現代は「病(やまい)」と呼ぶほどに、価値観の多様性が進んでいるのだろうか。
「社会性を持つ」とは、個性を持った個人が集団の中で生きていく上で、人間関係や集団生活を円滑に行うために行う行動の総称だが、社会性を持たない人間とどのように接していくのかは難しい。もし、医師がこれらの特質を持った人々を「病気」だと言うのならば、企業は患者を職場で排除的に扱わないで欲しい」などという誤ったメッセージを発してはならないのではないか。
もし病気であると言うのならば、まず「治療」すべきことを宣言し、時に組織から「隔離」すべき必要の可能性についても言及しなければ誠実とは言えない。
医学の専門家ではない。
ましてや「うつ病」についての知識があるわけではない。
ただ、現代を生きている人間として、素朴に「誤ったメッセージ」に対しては、率直に【違和感】を表明しておきたい。こうした、医師たちの安易な発言が、若い世代に与える影響は小さくはない。