企業は、大海原を走る船に似ている。
船長は船旅の目的地を語り、航海士は航路を定め、機関士は船のエンジンの音を聞く。
そして、「静かなる海」もあれば「荒れた海」もある。
それぞれの役割と掛け声が「船内」に響き合い、船は進む・・・・。
企業が船に似ていると考えたのはいつの頃だろうか。
社長が社長らしく、専務が専務らしく、部長が部長らしく、課長が課長らしくある企業は、実にスムースに組織が動く。課題を先送りせず、危険は未然に情報として共有され、なおかつ末端の社員まで自分の役割を自覚していて、それぞれに動きとして無駄がない。それぞれが真摯に役割を果たしているという姿は、まさに船に似ている。
そして海はさまざまな貌(かお)を持つ。うららかな春を思わせるような凪(なぎ)の時もあれば、巨大な船体をへし折るほどの圧倒的な暴力としての海がある。これもまた時代変化に似ている。瞬時に表情を変え、なおかつ時に船を飲み込むほどの圧力を内在しているという意味において、それは時代変化そのものと言える。
今はどんな時代だろう、と深夜考える。
有史以来「船乗り」たちの知恵が連綿と受け継がれ、今宵もあまたの船が大海原を走っているのだろう。
静かなる海、荒れた海・・・。
たとえ荒天の中でも、「船乗り」たちは文句を言わない。
何故なら、乗客の安全や積荷の安全とともに、自分と仲間達の「命」がかかっているのだから・・・・。
企業は、大海原を走る船に似ている。
荒天の中、船は行く・・・・。