とじき雑感

縦横(じゅうおう)力

    「縦横(じゅうおう)力」とは、私の造語です。

     

    s_00303一般的に「コミュニケーション」とは、「複数の人間や動物などが、感情、意思、情報などを、受け取りあうこと、あるいは伝えあうこと」と定義されます。同時に、組織を機能的に動かす時に、もっとも重要な要素とされます。実際に組織において、「コミュニケーション」が取れていないと、それぞれの動きや情報がバラバラになり、適切な効果を上げることが出来ません。よって、組織は「朝礼」や「会議」あるいはその他の機会を捉えて、組織の「コミュニケーション」を図ろうとします。

     

    しかしながら、「コミュニケーション」という言葉があまりに抽象的で、なおかつ解釈が広義なので、中小企業においてきちんと意味が理解され、対応がとれているかどうか長く疑問に思っていました。例えば、組織に対して行ったアンケートの中に「もっとコミュニケーションが取れるように懇親会などを行なって欲しい」などという回答は少なくありません。同時にそれをまともに受け取って、社員旅行や飲み方を頻繁にやっているから、弊社はコミュニケーションが良く取れている、などと勘違いしている経営者もいます。

    さて、組織にとって本当の意味での「コミュニケーション」とはどういうものでしょうか。一般的に、組織は「縦」のラインで構成されています。「階層型(ヒエラルキー)」で作られているので、社長~専務~部長~課長・・・、などという「縦方向」のラインが骨格となっています。ただし、この「縦」のラインはあくまで【線】なので、風を受けることが出来ません。そこに「横」方向の【線】を入れ込むことにより、その組織は【面】に変化することができます。組織は、「線」ではなく「面」になって初めて、時代という「追い風」を受けることが出来るのです。実は、この「縦横」のラインの構築が「コミュニケーション」なのです。伸びている会社、活気のある組織の共通点は、「組織の密度」が濃い、というところにあります。その濃さは、この「縦糸と横糸」の結びつきの細やかさにあると感じます。

    もっとも、この「横糸」を通すという作業は、なかなか容易なことではありません。例えば、「業務のIT化を進める」という命題に関して、多くの組織では、若者サイドからは楽々と糸を繋げていけるのですが、部長あたりでその糸を通すことが難しくなり、専務、社長の所ではまったく通すことができない組織などたくさんありそうです。つまり「縦」の線だけで終わってしまう・・・。組織の「縦横力」。一度、幾つかのテーマについて、「横糸」」を通してみてくれませんか。「IT化」だけではなく、「顧客満足」や「従業員満足」や「業務効率化」などについて、「横糸」を通してみてください。糸を通す時に、針が進まなくなった部分に、おそらく「組織としての課題」があり、それが「コミュニケーション」を阻害しているはずです。

     

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