とじき雑感

業界の風景

    日常接している「自分たちの業界」については、それぞれ精通していますが、「異業種の事情」はなかなかわかりづらいものです。特に「建設業界」は、独特の歴史と業界事情を抱えているので、一般の業界や社会からは特に見えにくいかもしれません。

    日経新聞が発行している雑誌のメルマガの文章を一部転載します。

     

    くじ引き落札の不毛、共倒れの悪夢

    土木工事の主要発注機関の入札結果を調べてみて、改めて驚きました。 2010年度の土木工事の入札で、新潟市は全631件のうち実に449件が、くじ引きで落札者が決まっていたのです。くじ引き落札の割合が71%に達しています。
    新潟市の発注工事でくじ引き落札が多いことは、日経コンストラクション3月14日号の特別リポート「発注者を訴える建設会社」でも、新潟市を訴えた建設会社の話として断片的に触れていました。(中略)

    新潟市だけではありません。
    大阪府でも土木工事のくじ引き落札の割合が52%に達し、相模原市でも51%を占めました。同割合が20%以上となった自治体は、三重県(42%)、京都府(36%)、大分県(28%)、福岡県(27%)、佐賀県(27%)、静岡市(25%)、鳥取県(25%)、神奈川県(24%)、広島県(23%)、川崎市(20%)と、少なくありません。

     

    仕事が「くじ引きで決まる」という異様さについて、他の業界ではなかなか想像がつかないかもしれません。
    「仕事の絶対数が少ないので、仕事を取るために【予定最低価格】で入札をする。その時、他社も同じような思惑で入札に参加するために、【同札(同じ入札金額)】が発生し、結果くじ引きによって業者が決定する」
    という仕組みです。

    戦後60年を越えて、「仕組み」が古びているのにそれに乗っかってしまっている「愚」については、毎週発行している「メルマガ 南風通信」に詳しく書きました。
    ここでもまた、「仕組み」の弊害が顕在化してしまっています。
    「戦国時代を生きる心意気」が必要な理由です。

     

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