とじき雑感

南風通信 再録 〜組織の「慣性の法則」〜

    こんにちは。戸敷進一です。

    2012年の新年が明けて、2週間。日本の報道だけをみていると、比較的穏やかに明けたように思いますが、ヨーロッパの金融危機やホルムズ海峡をめぐるイランと米国の一触即発の状況をみると、世界的規模で油断のならない年明けであることが分かります。

    日本の石油輸入の8割が通過するホルムズ海峡の封鎖に関して、かなり激しいやり取りが進んでいるのですからまさに「油断」の可能性が高まっています。「油断」の語源はいくつかの説があるのですが、行灯(あんどん)などの油の準備を怠ったため夜中に油が切れ、敵に襲われ命を落とす、という説があります。「各々(おのおの)、油断めされるな!」という時代かもしれません。さて、「組織には慣性の法則があって・・」というお話をしてくださったのは、先日の「新春とじき塾」で講演をお願いした(株)トランスパックの貝原社長様でした。
    慣性の法則とは、物体に外部から力がはたらかないとき、または、はたらいていてもその合力が0であるとき、静止している物体は静止し続け、運動している物体はそのまま等速度運動(等速直線運動)を続ける、という物理の法則です。
    組織に例えると、「変化」するためには、【外部】から力が働かなければ「静止」し続ける、ということになり、動き出すと「等速運動」を続けるということです。貝原社長様の場合は、この「等速運動」が、組織にとっての「惰性」になっているのではないか、というお話でしたが、「慣性の法則」は「惰性の法則」とも呼ばれています。
    組織(物体)は、【外部】から力を加えない限り「静止」を続け、動き出したて「等速運動」を始めたとしても、それは「惰性」になりかねない、ということでしょうか。新春の講演の中で聞いた言葉でしたが、ひどく気にかかってしまいました。多くの組織の「組織活性化活動」のお手伝いをしている中で、絶えず付きまとうテーマだからです。
    「動かない組織」をどのように「動ける組織」にするのか。
    「動き出した組織」の動きをどのように「持続」させるのか。同時に、時代や社会の変化に合わせその動きにどのような「方向性」を持たせるのか・・・。

    「慣性の法則」は「惰性の法則」でもあります。
    「~物体に外部から力がはたらかないとき、または、はたらいていてもその合力が0であるとき、静止している物体は静止し続ける~」という「合力が0」という意味は、組織の中の「対立」という意味でもあります。「動きたい若手」と「それを止めるベテラン」。「動きたい経営者」と「それに反対する組織の中のある勢力」。「経営者の危機感」と「社員の無関心」・・・。
    【外部の力】の意味も考えさせられます。「制度変更」「組織危機」「国家的危機」「業界的危機」などという段階が【外部の力】であるとすれば、遅すぎるに違いありません

    現代は、考える時代ではありません。情報を集める時代でもありません。ましてや「誰かの話」を聞く時代でもありません。自分で「決める」時代です。「決めて」「動く」時代です。新春から、とても大きなテーマについて考えさせられました。

    今週もお元気で。
    戸敷進一でした。

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