とじき雑感

南風通信 再録 「利益」について考える

    今年の5月に書いた文章です。
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    南風通信 「利益」について考える
    こんにちは。戸敷進一です。
    連休中に、中国地方の日本海側へ出かけて来ました。実は、全国47都道府県のうち「島根県」にだけ行ったことがありません。どういうわけか、講演の依頼もなく、私の中の「空白地帯」でした。どうにもそれが気になって、早めに訪問したいと考えていたのですが、ようやく「出雲市」と「松江市」へ行ってきました。
    これで、47都道府県訪問完了です。もっとも、行けばいいものではないので、それぞれの土地や歴史についてまた学び直さなければなりません。10年前に比べて、交通インフラなど大きく変化していますから、以前のイメージのままでいいわけはありません。まさに、一生勉強ということでしょう。
    さて、ある日「利益」について考え始めたら、大変なことに気づきました。社会人になってから「きちん」とした形で【利益】について教えてもらったことがないのです。自己流で勉強はしたのですが、教えてもらったことがない。
    ひょっとして、と思い、周りの人間や、昔からの友人たちに片っ端から連絡して、社会人になってから「きちん」と【利益の勉強】をしたかどうか尋ねてみました。驚いたことに、誰ひとり「きちん」と教えてもらっていませんでした。
    そんな馬鹿な、と言われそうですが、「営業利益」と「経常利益」をきちんと説明できる人たちは驚くほど少ないのです。売上総利益と粗利益が同じ事を指していることを知っている人も少ない。
    何よりも、同じ組織に属している人同士が、共通言語として【利益】を共有していないのです。ある人(営業)は「売上」だけを考え、ある人(経理)は「経費」だけを考え、ある人(工場)は「生産量」だけを考えている。結果として、組織の中のごく一部の人間だけが【利益もどき】を振り回し、会議や朝礼で大声を上げているのではないか。
    そうしたことを考えているうちに、「5S活動」ができていない組織にとても良く似ていることに気づきました。
    社長や専務が「きちんとしろ」「ちゃんとしろ」と言うのだけれど、それまで一度も「きちんとした事務所」「きちんとした倉庫」「きちんとしたお店」「きちんとした工場」を見せたこともないのに、「きちんと」「ちゃんと」を連呼している。「ちゃんとした挨拶」「ちゃんとした服装」「ちゃんとした応対」をするように言いながら、一度も「挨拶」「服装」「対応」に関する教育も研修もしたことがない。
    ひょっとすると【利益】に関しても、組織の中で共有されていないかもしれません。
    「売上」だけで大丈夫ですか?
    「粗利」だけで大丈夫ですか?
    「経費削減」だけで大丈夫ですか?
    「利益の金額」だけで十分ですか?
    試しに、社員の方々に「自社の利益」とは何かを問いかけてみていただけますか。おそらく、100人いたら100通りの「利益解釈」が出てくるかもしれません。
    今月(5月)のとじき塾では、そうした組織の中の「共有語」としての利益について研修を行います。
    今週もお元気で。戸敷進一でした。

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