昔、そのまんま東という芸人が、宮崎県知事を努め、宮崎をボロボロにしたことがありました。何しろ彼の在任中、宮崎では、自殺者は増えるは農産物の売れ行きは落ちるは、散々な状態を引き起こし、挙句「口蹄疫」という一大事にすたこらさっさと逃げ出した男です。テレビや新聞では報道されなかったので、多くの人達は知らされていなかったのですが、実態はかなりひどい状態でした。
その頃に書いたブログの文章が、パソコンの中に残っていました。2009年4月の文章です。
統計の「旅」 〜トウチャンの独り言〜
世の中には「テッチャン」と呼ばれる【オタク】がいるらしく、字は「鉄ちゃん」と書くのだろうか。いわゆる、「鉄道マニア」のことを言うらしいが、弊社には、約一名「鉄ちゃん」がいるので、その実態は良く分かる。何しろ、家を探すのに、鉄道の近くが条件だと言うのだから、その「マニア」ぶりが窺える。当然「鉄道」に関する知識は半端ではなく、メモリーは「ギガ」クラス！私が、気取ってかつて乗った「ローカル線」の話をしようものなら、目をランランと輝かせ、私が知らないことまでをとうとうと語りだす。「げに、恐ろしきかな、鉄ちゃん！」という風情です。【オタク】は、人間の資質の中で、とても大事なことだと思っています。
【専門家】とは【オタク】の延長線上にあるもので、時にその知識は、世の中で一般的な「専門教育」を受けた人々を凌駕する。本当の意味で【専門家】とはすべからく【オタク】なのだと思います。その意味からすると、さしずめ私は「トウチャン」かもしれません。
実は最近気付いたのですが、「統計」に異常に興味がある。ブラウザの「お気に入り」には、さまざまな統計サイトが入っていて、自分でも収拾がつかなくなっています。人口データ、気象データ、経済データ、犯罪データ････、とにかくありとあらゆる「統計」を見かけたら、すぐさま「お気に入り」に入れてしまうので、パソコンの中身がぐちゃぐちゃになる。それでも頭の片隅にはその断片が残っていて、目的の「数値」や「指標」にはすぐにたどり着ける。
連休中、何とかそのぐちゃぐちゃな「統計」サイト群を整理しようと思っているのですが、しかかると中身に目が行って整理が進まない･･･｡今日も、【都道府県別個人預貯金残高】という「統計」が目に入った瞬間、作業が止まり以前訪れた各地の「風景」を思い出しながら「数値」を追い始める。
個人預貯金残高（一人当たり）の全国平均は「5024000円」です。
第1位 東京 7329000円
第2位 香川 6661000円
第3位 徳島 6383000円
第4位 和歌山 6129000円 ･････第43位 福島 3682000円
第44位 鹿児島 3566000円
第45位 青森 3314000円
第46位 宮崎 3217000円
第47位 沖縄 2701000円実は、全国を旅するとき、こうした数字が私の頭の中にはあって、「地元」の人が、「われわれは田舎で･･･」「地方なので･･･」「生活が苦しくて････」などと言っても、信用をしない。
富山 5614000円（全国第7位）
福井 5457000円（全国第8位）
長野 5218000円（全国第11位）
高知 4877000円（全国第22位）････「潜在購買能力」のある地域の人々が言うセリフではない。
九州を見てみろ！
福岡 4234000円（第34位）
佐賀 4223000円（第36位）
長崎 4021000円（第37位）
熊本 3865000円（第38位）
大分 4255000円（第33位）宮崎！ 3217000円（第46位）！･････
私が、宮崎県知事の「そのまんま何某」をボロカスに言い続けている背景には、こうした数字が頭の片隅にあるからです。「こらぁ！そのまんま！てめぇ、テレビに出まっくて下手な芸を見せるより先にやることがあるだろうが！【自殺者】減ってねぇじゃねぇか！観光客！九州最低じゃねぇか！ちったぁ真面目に仕事しろ！」
無論、県知事が一人頑張ったところで何とかなる数字ではない。地政学的な課題や歴史的背景もある。しかし、こうした数字を頭の中に入れておかないと、コンサルタントは失敗をする。
「土地生産性」「農家一戸当たり耕地面積」「商業年間商品販売額」･････。
さまざまな「統計」の間で、旅をする。
「都会」「田舎」「地方」「地域」･･･｡それぞれに「表情」を持っていることが分かる。わたし、「トウチャン」･･･【統計オタク】です。
