年賀状に混じって、白い封筒が入っていた。年賀状を読むよりも先に封を切ると、ある会社の役員会の報告で「新役員」が選出されたという内容のものでした。埼玉県にあるその会社とのお付き合いはずいぶんと古い。
当時34歳だったT君が「副社長」に、そして当時32歳で現場監督だったI君が「取締役」になっていました。
8年前、血の繋がった後継者が居ない社長にT君を早く「取締役」へして欲しいと言ったのは私でした。同時に、当時現場監督だったI君を「総務」へ異動させるように薦めたのも私でした。
仕事始めの午前中を避け、午後からI君へ電話をしました。
「8年前、総務に移されて不機嫌な顔で総務の椅子に座っていた君をしっかり覚えているよ。でもね、本当に強い組織は現場をわかっている総務がいる会社なんだ。しかし、現場ができてなおかつ総務・管理的なことを理解できる人間は少ない。今までいろんな組織と関わってきたけれど、それができそうだと思わせた人間は2,3人だ。その内の一人が君さ。だから社長に君を異動させるように言ったんだ」
「確かにあの時でなければ、総務には移れませんでしたね。数年遅れていたら、現場にどっぷりと浸かって、今のように会社の全体や将来を考えることはなかったかもしれません」・・・
コンサルタントが小さく「ガッツポーズ」をするのはこうした瞬間です。人とタイミングを誤らず、たとえその時に異論があったとしても、正しいと思われることを企業に語れるかどうか。そして、その検証には少し時間がかかります。その時間がかかるということも含めて組織にとって正しい判断を誤解を恐れずにできるかどうか・・・。
I君と電話で話しながら、そんなことを考えました。
翌日、フェイスブックの私の記事に、別の人物がこんなコメントを入れてくれました。
「戸敷先生、お久しぶりです。
文中に懐かしいお名前が並んでいたので、ついコメントさせて頂きましたw
戸敷先生に喝を入れて頂いて頃から、6年近くの歳月が経ちます。3年周期の法則で言うと2周り成長していなきゃイカンのですが、自分はどうかな?と思いながらブログ拝見しました。
またお目にかかる機会があれば是非お会いしたいです。寒い日が続きますのでお身体ご自愛くださいませ。」
【経営の時間軸】という前日の私のコラムを読んでコメントをくれたのでした。かつて自分たちのことを【とじきチルドレン】と呼んでくれた若者の一人です。彼は以前いた組織を離れ、一人で新しいネットワークを作り、地域貢献に励んでいます。
8年と6年・・・。
ここ数日、嬉しくて仕方ない。
今一度、誰も見ていないところで小さく「ガッツポーズ」をする。
「成長」にはきちんとした「時間軸」が必要です。