冒頭の【ピグマリオン効果】という言葉は、教育心理学の言葉です。
これは、教師の期待によって学習者の成績が向上するという行動を示した言葉です。教師が期待し ないことによって学習者の成績が下がることは【ゴーレム効果】と呼ばれています。
1963年ローゼンタールとフォードが大学で心理学の実験で、学生たちにネズミを使った迷路実験を させるのに、ネズミを渡す際に、これはよく訓練された利巧な系統のネズミ、これはまったくのろ まなネズミといって渡したところ、その二つのグループの間で実験結果に差異が見られました。
前者の ネズミを渡された学生たちは、ネズミを丁寧に扱い、後者のネズミを渡された学生たちは非常にぞ んざいに扱い、その両者のネズミへの期待度の違いが実験結果に反映されたものとローゼンタール は考えました。そこで、これは教師と学生の間でもありうるのではないかと考えた。【ウェキペディア より】
さて、この「効果」に関する実験は1964年に人間にも行われました。
その結果は、動物における実験と同じでした。
教師達に、あるテストを実施させ、その結果を元に 特定の子供達の成績が上がると告げたところ、実際にその子供達の成績が上がったというのです。 つまり、教える側の「教師」の期待に、「特定の生徒」が応えた、という結果が出ました。 この「効果」に関しては、「再現性がない」などという理由で、各種の批判があるのですが、「人 材育成」を行う上で示唆に富む話です。
教える側の「期待」が教えられる側の成果に反映される可能性があるというのです。
時代変化はいつもあることですが、昨今の変化は、「質的」な変化を伴っているという意味で、 「異質な変化」です。変化が従来型の「延長線上」になく、ワープした状態で変化し始めました。 今まで「同業」との争いで済んでいたのが、「異業」と戦わなければならなくなってきた。今まで 「地元」の顧客だけを相手にしていればよかったのですが、今はネットを使って「遠方の客」まで 獲得する方法を考えねばなくなってしまった。ライバルは「国内」だけではなく、「外国」が競い 合う時代でもあります。おまけに国内では、猛烈な勢いで「少子高齢化」が進み、産業の空洞化や 地域格差が進む。
「変化」が従来の延長線上にないという意味で、これからもっとも必要なものが「人財」つまり、 取替え可能な「人材」ではなく、その組織にとって必要な「人財」になります。「人材」が「人財」 に変わったということもまた時代の「質的変化」です。
組織の「マーケティング」に関して命がけの人物はいますか?
組織の「管理体制」に関して命がけの人はいますか?
組織の「存続」に関して命がけの人はいますか?
組織の「発展」に関して命がけの人はいますか?・・・・
ピグマリオン効果、ゴーレム効果。
さて、組織のトップである経営者や組織の意思決定に関わる経営幹部が、心に留めておかなければなら ない言葉です。同時に「期待」を込めて人財育成に取り組まなければなりません。
政治が国民や企業を守らないことを表明して久しい時代です。
自分の身は自分で守るため、組織内で行動を起こしましょう。