時代変化が小さいときには
「昨日はこうだった。今日もこうだ。だから明日もこうだろう」
と、たかをくくっても良かったのだが、
「昨日の常識は、今日の非常識。今日の非常識は、明日の常識」
という激変の時代では、意識を変えなければ生き残ってはいけない。
たかだか15年前まで、携帯電話を持っていること自体が珍しかったことを忘れてはいけない。その頃まだウィンドウズパソコンは普及していなくて、ワープロで文章を作っていたことを忘れてはいけない。会社からのポケベルの振動に飛び上がりながら赤電話を探していたことなど、みんな忘れている。
経営が苦しい、と思わす口走る。
時代が大変化を起こしているので、当たり前の話なのだが、意識が変わっていないので、組織の仕組みも昔のままなのだ。パソコンや携帯電話を手にしたところで、やり方が変わっていないのだから、効果が出るわけはない。
そんな時には【原点】に帰る。
【原点】とは何か。それは、「生産性のアップ」です。
「なにぃ!今さら生産性のアップ!何寝呆けたことを言ってるんだ!われわれはぎりぎりのところで戦っているんだ!大口を叩くんじゃねぇ!」
などと言われそうだが、果たしてそうなのかどうか・・・・。
「5%の生産性アップ」
「5%の固定費削減」
「5%の受注増」
まずこれが今の組織を変えるきっかけになる。
1時間は60分です。60分の10%は、6分。5%はその半分なので、1時間の5%は3分間ということになる。
では、仮に1日8時間働くとして、5%の増加は【8×3=24分】ということになる。おやぁ、24分余計に働くと、「製造時間5%アップ」「販売時間5%アップ」「処理時間5%アップ」ということになるのだが・・・・。
そんな話をしたら、見る見る顔色の変わった経営者がいた。
「先生、そうしたら、就業時間中のだらだらとした時間を24分集中して仕事をすると5%アップしたことになりますね。いらっしゃいませ、この商品いかがですか、という声掛けを今まで30回していた回数を31.5回すれば5%アップしたことになりますね。一日の来客数が50人だったのを52.5人にすれば5%アップしたことになりますね・・・・」
ある企業の経営計画を組んでいる時、どうしても現状のままでいると会社が回らない。すなわち赤字になってしまう。そこで、立ち会っていただいていた会計事務所の方に、単純に5%外注費だけを減らして試算してもらったら、何とか会社が回ることが分かった。ついでにそこから5%外注費を減らしたら、900万円の黒字になることが分かった。
「うーん、5%ですか・・・・?」
眉間に皺を寄せる経営者へ私が言い放つ。
「一日24分間が頑張れないのか!」
「今まで30万円で出していた下請けの金額を、28万5千円で頼めるかどうか?それが難しければ、受注金額を2.5%上げろ!今まで70万円で出していた見積もり金額を71万7500円に上げろ。そして下請けの金額を2.5%減らせ。30万円の時に29万2500円になる。それが5%の意味だ。それが出来れば会社は回る。時間に直せば、【1日24分間】のことだ!」
年間200万円の交際費を190万円にする。
年間150万円の一般燃料費を142万5千円にする。
年間50万円の広告費を47万5千円にする・・・・。
「出るところを5%減らし、入るところを5%伸ばすと、10%以上の利益改善になるのだが、5%とは【1日24分間】のことだ。出来るのか出来ないのか?やる気があるか、ないのか?社長はっきりしろよ!」
「5%の向こう側」には、別世界が広がっているのだが、障子で隔てられているので、そんな世界があることを知らない経営者がたくさんいる。障子なので、指先につばをつけて穴を開けてみればいいのだが、そんなことも忘れている経営者がいる。
時代が大きく変わるとき、意識も大きく変える必要があります。
製造系の企業では20年以上も前に取り組んでいるというに、販売やサービスの世界ではこうした「単純な事柄」さえないがしろにされている。
【1日24分】頑張れますかぁ?】
それが嫌なら、早めに会社をたたんだ方がいい。