とじき雑感

「危機感」のあり場所

    組織の究極の目的は「組織の存続と発展」です。
    もちろん、歴史的に見れば「幕末の江戸幕府」や「昨今の自民党」のように、歴史的役割を終え、どのように「軟着陸(自主廃業)」させるかという目的を持つ組織もなくはないが、それはその時の「役割」のことであって、本来の目的ではない。

    組織の目的が「存続と発展」であることに間違いはありません。
    その時に、必要とされる存続のための要素は

    「危機感共有」
    「時代適応」
    「自力改善」

    という3点です。

    その時に必要なものが、具体的な【技術】になります。
    どのように「危機感」を組織全体で共有するのか?どのように「時代」にマッチした組織を再構築するのか?どのようにして「改善」活動を始め、維持していくのか?
    その方法を、具体的に「考え」「提案し」「実践してもらう」のが、われわれコンサルタントの仕事です。組織には、「地域常識」「業界常識」「社歴常識」という大きな枠組みを事前に与えられているために、なかなか自主的に「変化」することが出来ません。実際のコンサルティングの現場でも、真っ先に出てくるのは
    「うちは田舎なので・・・・」
    「うちは小さいので・・・・」
    「うちは人材が意なので・・・・」
    「われわれの業界では・・・・」
    「うちの連中ではそれは難しいのでは・・・・」
    「長年のやり方がありますから・・・・」
    「会長が許しませんよ・・・・」
    という言葉です。
    組織が変化するための【道筋(プロセス)】は、その組織によって違います。こうすれば、絶対に良くなるという「魔法の方法」はありません。「5S活動」から始めたほうがよい組織もあれば、「マーケティング」から始めたほうがよい会社もある。「会議の仕組み」を整えたほうがよい組織もあれば「危機感の共有」を急ぐ必要がある組織もある。
    組織が存続するかしないかの決め手は、「自分たちの手でそれを行う」という強い意志です。押し付けられた「仕組み」やお手軽な「小手先の技術」では、この大きな時代変化を乗り切ってはいけない。ISO9000や14000が、それぞれの組織の中でどれだけ「形骸化」しているかを見れば、その意味を理解していただけるだろうか。

    随分、世の中が「変化」しているというのに、相変わらず【危機感】の薄い組織が少なくありません。トップが「危機感を持っている」のに、No2やNo3がぽかんとしている組織もあります。相変わらず、となりの組織の動向や業界の空気を追いかけている組織もあります。
    日立と三菱重工が合併して、米国債の格付けが下がって、急速な円高が進んで、内需が落ち込むのがわかっていて、放射能で食物がどうにもならない状態になっているというのに、組織に関する【危機感】が薄いというのは、どうしたことだろう。

    2011年の夏が目の前を逝き過ぎています。

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