とじき雑感

マネジメントの定義と課題

    s_1600-1200昨年一年間、平均年齢28歳という若い世代で構成された組織と付き合いました。特に23歳という、大学を出たばかりの若者たちとの関わりから、教えられることが多くありました。もちろん、ショックを受けることも、頭にくることも少なくなかったのですが、組織における「世代」について考える機会をもらいました。
    「29200日の意味」や「2億円の意味」などという新しい講演テーマも彼らからもらいました。

    若い世代には【学ばなければならないこと】があります。

    昨年の7月にメルマガ「南風通信」に書いた文章です。ぜひ若い世代に考えていただきたいテーマです。

     

    【今週の言葉】 ・・・ マネジメントの定義と課題

    こんにちは。戸敷進一です。
    先々週から先週にかけて、あちこちに出かけて話をして来ました。
    2年ぶりの滋賀県の「甲賀市」では、国道1号線すなわち旧東海道を少し車で走りました。律令時代から地域として定められた地域名としての東海道と、鎌倉に幕府が置かれてからの東海道、江戸幕府が定まってからの東海道について昔調べたことがあったので、少々感慨深いものがありました。今は、高速道路や新幹線、航空機という交通手段がありましたが、以前は人間の足という「アナログ」で移動しなければなりませんでした。総距離550Kmほどの幹線道路において古来からどのような野望や夢が運ばれていたのかを想像する時間は悪いものではありませんでした。
    さて、最近若い世代の人たちと話していて、少し不安になるのは、彼らが「マネジメント」ということにあまり興味を持っていないということです。時代の空気として「出世欲」や「金銭欲」が薄いことと連動しているのか、組織を動かすという事について意欲的ではありません。時代変化の中で「マネジメント技術」も日々進化しているので、新しい世代が早くマネジメントに関わる必要があるのですが、どの組織も少し動きが遅れているようです。

    マネジメントとは、主にビジネス上における様々な資源や資産・リスクなどを管理し、経営上の効果を最適化しようとする手法のことです。そして、マネジメントされるべき対象は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つです。

    現在において、若い世代が苦手に感じているのは「ヒト」との関わり方です。ひとつ前の世代に比べて圧倒的に「ヒト」との関わり方が薄いので、組織内の人々や顧客とどのように関係を築けばいいのかがわからない。何よりも人との「距離感」がつかめていないので、踏み込まなければならない瞬間や踏み込んではならない境界線を把握できずにいます。結果として、組織内のコミュニケーションが薄くなり、中には「日曜日に仕事のメールが入ってきた」ことに対して猛烈に反発した若者が出てきたりしています。
    「情報」に関しても若い世代とベテランの世代は大きな意識のズレが生まれています。若者たちが簡単にネットなどから情報を引っ張り出してくる背後で、ベテランの世代が不機嫌な表情で腕組みをしているようなイメージがあります。情報を引っ張り出してくるスピードは速いけれど、ピントがずれていたり、優先順位が分かっていない。逆に、若い世代からすれば、スマホもタブレットも満足に扱えない世代をどこかで馬鹿にしてしまいがちです。
    こうした「ヒト」と「情報」に関するアンバランスさが、「モノ」や「カネ」に関するこだわりの無さを生み出しているのです。

    「そんなに高い給料は欲しくない」
    「むしろ休暇を増やしてほしい」
    「出世は嫌だ」
    「責任を持たされるのは嫌いです」・・・

    こうした声にきちんと「立ち向かう」ためには一度マネジメントを整理して置く必要があります。

    1・目標、目的を明確化する
    2・人材を配置し、管理する
    3・担当者の能力を把握し、業務を割り当て、管理する
    4・進捗状況、達成状況を管理する
    5・ミーティングを行い、チームの意思統一を図る
    6・情報収集を行う

    それぞれの要素に対して、どのような仕組が組織の中にあるか、その仕組をどのように「今風(いまふう)」に整え直すか。

    実は、この「目標・目的の明確化」という部分での「振り分け」がなされていないのです。採用する側もされる側も、そこをあいまいにしたままスタートを始めるので、ちょっと深いテーマに取り組もうとすると組織がきしんでしまうのです。「人材育成」「教育訓練」「コミュニケーション」などという組織の【ど真ん中】を決定する事柄で不協和音が聞こえるのは「目的・目標の共有化」がなされていないからです。

    「今度こういう研修があるので○○さんに行ってもらいたい」
    その時に喜んで「はい」というのか、胸の内でなんで俺が、と思いながら「はい」というのかは決定的に違う現象です。つまり、組織がコントロールされているかどうかの違いです。マネジメントは目に見えにくいものです。若い世代は余計に見えません。しかし、誰かが的確にコントロールしなければ「売上」も「利益」も遠いところに逃げていくます。
    マネジメントは、経営者と経営幹部が最優先で取り組むべき当然の事柄です。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を単なるスローガンのように口にするのではなく、その下に展開すべき活動の見直しが重要です。若い世代とのギャップを埋め、レスポンスの良い組織を目指して下さい。

    戸敷進一でした。
    今週もお元気で。

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