組織活性化コラム

社長、忙しいですか?

    さて、多くの人たちが「忙しく」働いています。ごく一部の人たちを除けば、暇を持て余しているわけではありません。朝から晩まで「忙しく」働きます。では、「忙しい」とはどういうことを言うのでしょうか。

    組織改善のお手伝いをしている中で「忙しい」という組織の事情はどこも同じです。業務はいつも待ってくれないので、物を作ったり、物を売ったり、そのための計算をしたり、書類を作ったり、人に会ったり、電話をしたり、一蹴も気が抜けません。
    確かに、日常は忙しいのです。
    その中で、組織の改善活動を行うというのは、なかなか大変なことです。改善のための勉強をしたり、それに基づいて、計画を練ったり、会議をしたり、おまけに組織に対する教育訓練までしなければ、改善は形になりません。
    「忙しい」中で、どのように時間を作るか、どのように組織内の調整を計るか、経営者や改善のリーダーたちは思い悩みます。

    ある「介護施設」の改善活動は大変でした。仕事の性質上、24時間体制の仕事ですから、業務に関しては一瞬も手が抜けない。なおかつ数日に一度は、27時間連続勤務が入るので、組織の人たちの中で、数週間顔を合わせない人がいたりするのです。
    「5S活動」から「限界利益管理」「マーケティング」と続く改善活動は、組織にとってはかなり負担になるものでした。ましてや、改善活動のリーダーは、まだ30代前半の女性でしたから、組織から湧き上がる抵抗の声との戦いは、半端なものではありませんでした。女性社員が多く、世代も幅があるのです。事務局のバックアップがあったとはいえ、改善の道のりは平坦なものではありませんでした。それでも、半年近い活動の成果は、入居者の評価や入居家族の評価となって現れ、利益の改善も着実に進みました。

    一方、週休完全2日制で、ほとんどの人が9時から18時で働いている組織でなかなか改善活動が進まないのです。勉強をする時間は取れなければ、教育訓練の時間も取れないというのです。
    「忙しくて、会議も出来ません」
    会うたびに、経営者や改善リーダ^やメンバーがそう口にするのです。
    さあ、私としては実に悩ましい。その組織が悲鳴のように叫ぶ「忙しい」と介護施設の「忙しい」とどこが違うのでしょう。

    実は、「忙しい」という言葉は、標準語ではありません。標準語は、誰でも分かる言葉ですが、この言葉に限っては、九州弁と東北弁以上に違いがあります。時に、外国語のように言葉が通じないことがあります。同時に「忙しい」と言う言葉は、抽象語です。抽象的な言葉なので、個人の印象から出た言葉です。

    全国を飛び回り、朝から晩まで働いている会計事務所の先生が「忙しい」と言います。
    自宅から会社へ通い、毎晩ちゃんと家で眠っている経営者が「忙しい」と言います。

    誰も「忙しい」の意味を解説してくれません。その意味を本当に理解するのは、その組織の人たちや、それぞれの個人なのです。

    社長、「忙しい」ですか?

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