組織活性化コラム

日曜日の工場にて

    ある日、ある企業の「戦略会議」を、2日をかけて、時間を気にせずに行う、ということになりました。進捗状況によっては「深夜に及ぶ」可能性もあるわけで、こちらも前日から体調を整え、万全の体制で望みます。時代変化の速度や質的変化を考えると、相当に緻密な「組織の将来図」を描いておかなければ、目的地へ辿り着けそうもありません。
    「計画など立てたって、状況は変わる。むしろ状況に応じた対応が必要だ!」
    と叫ぶ人もいるけれど、【地図】の事前検討もせずに出かけたりするので、遭難する。目的地の「位置」と「高さ」と「タイムスケジュール」が共有できなければ、パーティーは遭難する。何よりも「何を準備するか」さえ分からないではないか。

    「組織には2種類の組織があります」
    と、若い会計人が冒頭で語りました。
    「ふたつの組織とは、ひとつが【家族】のことでです。基本的に【家族】に共通の目的は必要はありません。馬鹿息子でも馬鹿親父でも血が繋がっているので、維持するのに目的など必要はありません」
    「もう一つの組織は、【企業】です。【企業】では、共通した目的を共有しておかなければ、すぐに前に進めなくなります。共通の目的を共有していないので、給料だけが仕事の基準になり、より高い給料を払ってくれる組織が出てくると、ためらいもなく他の組織へ移ってしまいます」
    若い会計人の話は、実にテンポよく、なおかつリアルに徹している。朝から、役員と幹部が一体となって、手を抜くことなく、組織の将来について意見を戦わせ、進むべき【方向】の精度を可能な限り上げてゆく。
    「全体と部分の関係を明確にしましょう。部分を考えるということが全体に繋がっているかどうか。全体を考えながら、部分のことをイメージできているかどうか。気をつけておかないと、部分だけで全体を考えてしまったり、全体だけで部分を見失うこともあります」
    若い会計人の言葉は、おっさんの言葉より活き活きとしていて気持ちいい。

    日曜日なので、一般の社員の出勤はありません。
    2年前、「暗く」「狭く」「埃っぽく」「表示のない」「使い勝手の悪い」工場だったのですが、若手の改善リーダーだったO君が、自ら動き、仲間を動かし、最終的にはみんなを動かし、現在は見違えるほど、落ち着いた「空間」に変えてしまいました。
    初年度、組織内の「5S活動」が進みました。2年目、課長を中心とした「幹部会議」を磨きました。3年目にしていよいよ「戦略会議」です。実は、現在も「会議」は進行中です。日曜日なのですが、私のほうが貴重な勉強をさせてもらっています。当然、一日では終わらないので、明日早朝から会議は始まります。

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