講演の依頼を受けたのは数ヶ月前のことです。親しい社長からのご依頼だったので、何をさて置いても出かけなければなりません。
主催団体の名称は「宮崎県舗装協会」。うーん【地元】の【昔なじみ】です。まぁ、「地元」ほど怖いものはなく、「昔なじみほど恐ろしいのはない。信じられない話ですが、この私が、朝から本当に胃が痛い。
午後から会場に出かけると、いきなり「昔なじみ」から声をかけられる。思わず、平身低頭。トイレにいくと、今回の講演を紹介してくれた社長とばったり顔合わせ。思わず、平身低頭。役員会が終わって出てきた副会長が、いきなり「太ったかぁ？」直立不動で「はぃ」。受付では、「ヨウ」「ヨウ」「ヨウ」と声をかけられ、【米つきバッタ】。
「地元」ほど怖いものはなく、「昔なじみほど恐ろしいのはない。
持ち時間は「1時間」でした。私の話は、最低が90分で構成されているので、当然時間が足りない。足りないのでもう「振り切る」しかない。とにかく最初から「フルスイング」での1時間でした。私の「フルスイング」がどの程度のものであるかをご存知の方々は、想像をしてみていただきたい。内容によっては、会場、静まりかえって、咳ひとつ聞こえない。
講演のタイトルは「勝ち残る企業の条件」でした。
現在、講演が終わって控え室で「反省中！」。夕方からは、懇親会です。
うーん、石が飛んで来ねぇか？
槍や鉄砲が出てこないか？
まぁ、拳骨の二三発は覚悟しましょう。
何しろ、かつての「仲間たち」ですから・・・。
「地元」ほど怖いものはなく、「昔なじみほど恐ろしいのはない。
と、ここまで控え室でコラムを書き上げ、おずおずとうなだれて懇親会会場へ向かう。舗装協会の会長様の横で神妙にしていると、後ろから「とじき」と声をかけられる。振り返ると、かつて私がお世話になった人物が立っている。思わず、椅子から飛び上がり、直立不動の最敬礼です。
まだ私が若く「ガキ」だった頃から私を可愛がってくれた方です。すでに息子さんに代を譲られ会長をされていますが、私にとっては大恩人です。今よりもはるかに時代や社会にエネルギーが溢れていた頃、その中で様々なものと「凌ぎ合い」「渡り合い」「戦い」生き抜いてきた方です。
「太ったなぁ。まぁ、とじきの血筋か」
と笑いながら言い放つところが、迫力満点です。地元の建設業にいた私の叔父たちもよくご存知なのです。そしてその叔父たちと「凌ぎあって」きた世代なのです。私はこの方や、専務・常務をされていた方々に可愛がって頂いた。私と同じ年ですでに亡くなった部長にもお世話になった。宮崎には、何人か足を向けられない人物がいるのですが、会長様もまたそのお一人です。
乾杯の後、私は全く食事をする時間はありませんでした。昔の仲間達が一斉に寄ってきて、食事をさせない。それはそれは、ある意味「至福の時間」でした。
「また何社か集まって呼んでいただければ話をします」
という話をした瞬間、横から会長がぼそりとこう言われた。
「何社か集まればじゃねぇ。自分の会社で呼ばんでどうする！自分の会社のことだろうが！」
懇親会を途中で辞し、車で宮崎から福岡まで帰りました。マンションに帰り着いたのは午後11時前でした。不思議と疲れていないのは、会長に会ったからです。元気と、忘れかけていた「なにものか」を思い出させてもらった講演会でした。
懇親会場で、一緒に写真を撮らせていただいた。（感謝！）
宮崎県舗装協会の皆様、ありがとうございました。昔の仲間達に感謝します。そして、K会長、ありがとうございました。ひとつの時代を駆け抜けてきた人の気配に、背筋がまたひとつ伸びました。
