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ある日、私より少し年上の方々と話をしている時に、若者たちに対する悪口が出た。
「昔は我々も社会も年寄りを大事にしたものだが、最近ではいい加減な連中が多くなって尊敬心のかけらもない!嫌な時代になったものだ」
周りにいる年寄りの人達が一斉に頷く中、私だけが頷かなかった。
「そうは思わんかな、とじきさん?」
頷かなかった私にいきなり話が向けられた。
「まぁ、宝石と石ころの話ですから」
と言うと、みんなが怪訝そうな顔をした。
「昔、そう大正から昭和20年ころまで、日本の65歳以上人口は300万人くらいでした。今は3000万人ほどいますから年寄りに希少価値がありません。希少価値がなくなったというだけの話で、若者や社会のモラル低下とはあまり関係がないんじゃないでしょうか」
今度は私より若い世代の連中が少し嬉しそうな顔になる。
「しかし、年配者に対する尊敬と言うのは人数には関係ないじゃろ。数が多い少ないの問題じゃなか。教育を含めて世の中がおかしい!」
酒の入った席なので私より10歳ほど年上の方が怒鳴るように言う。
「確かに尊敬の念は大切ですが、教育の問題より環境の問題のほうが大きいと思います。アメリカのレディファーストという習慣は西部開拓時代に極端に女性の数が少なかったため、社会全体で大切にするという所から出てきた考えです。多い少ないというリアルな環境は無視できませんよ。現に老人に対する尊敬の前に、少年犯罪はピーク時の半分以下に減少していますが老人犯罪はここ10年で2倍以上増えています。少年犯罪が年間16000件位の時老人犯罪は48000件を超えていますから、一概に若者や社会に尊敬しろと言っても無理がありますよ」

みんなが酒を飲む手を休めて私の方を向いたので言葉を続けた。
「現在日本人の平均年齢は46,6歳です。ということは、現代社会おいて若者とは46歳以下の連中のことです。こんなことを言うと笑われそうですが、実際にSMAPというアイドルグループの連中には40歳過ぎがおりますね。中居とキムタクですか。確か42歳のはずです。何で彼らが40歳を越えてアイドルをやっていられるかというと社会がそれを許容しているからです。以前なら30歳越えてアイドルなんて呼ばないし、まず許されてはいなかった。しかし今は違う。社会の構成が大きく変わっているので彼らはまだアイドルとして動けるスペースがある。何しろ日本人の平均寿命は84歳ですから彼らは充分に若い。同時に今の40歳は幼い、ということも覚えておかなければなりません。下手すると50歳でも幼い連中がいたりしますから気をつける必要があります」

「確かに」と別の社長が声を挟んだ。
「うちの課長連中や部長の一部分も幼いかもしれんなぁ。考えが甘いだけではなく幼い。自分で道を切り開いてゆくという勇ましさに欠ける。大体話している内容からしてこちらを唸らせるようなものがない。指示したことはそつなくこなすがその次の何かが見えん」
「うちもそうだ。お利口さんは揃っているが凄みはない。我々が若い頃の上司が持っていた雰囲気はないなぁ」

「それも若者たちの責任ではありません。時代変化と社会構造の変化がもたらしているものですからそこを理解しておかなければ育成を間違います。大体20歳から46歳までの日本人の人口は4100万人くらいです。47歳以上の人口は6200万人くらいですから今の日本は過分数です。つまり上が重くて下が軽い。逆の言い方をすれば若い世代はいつも上からの押付に悩まされています。若い世代ではそれを老害と言います。社会がそうした性質を持っていることを承知して自分たちの組織を見直す必要はありませんか。同時に社会人や人生の先輩として若い世代にきちんと伝えなければならないことがあるはずなのですが、それができていますか?」

若い何人かの連中が拍手をした。彼らに向かって手を振り、彼らにも言った。
「まぁ、私もそろそろ老害の仲間入りなので言わせてもらう。大体君らの座り方は何だ?若い連中ばかりで固まりやがって何を考えてる。さっきから聞いてりゃアプリの話とアイドルの話ばかりじゃねぇか。せっかく年寄りがここにいるのになぜ年寄りの間に入っていかない。見てみろ。この線を境にして平均年齢で15歳は違うぞ!先のない年寄り経営者の話を聞け!先のない年寄りは若い世代の感性を感じて下さい。何のための集まりですか!はい、コップと皿を持って移動開始!」
「とじきさんはどこに座る気ですか?」
一番年かさの社長が笑いながら声をかける。
「取りあえずたばこを吸ってきます。その後、若者にいじめられている年寄りの加勢をします。若者をいじめている年寄りがいたら若者の加勢をします」

「僕、SMAPの中居と同じ歳なんです」
顔を真赤にした若い経営者がコップを持って言う。
「おう、道理で幼いと思った。一番上座に行け。怖いおじさんがいるから、そのおじさんと話せ。おやじさんより年上のはずだ。うんと年上の社長と話す機会などめったにない。いじめられてこい!◯◯社長お願いします」

世の中の「枠組み」が変化していることに多くの場合気づかない。感覚としての違和感はあるのだがそれがどういう理由でそうなのかを知るのは難しい。時に「統計表」を眺めているとその違和感の原因が見えたりする。
御社の平均年齢は何歳?
世代別の人員構成比はどうなっていますか?
何よりも、顧客の年齢層はどこでしょう?