人間には「空間認識能力」があります。空間認識能力とは、物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のことです。つまり自分がどこにいて、どのような状態にあるのかを絶えず知っているということです。これがなければ階段ひとつ登れず、道路も歩けない。そしてこの能力は無意識に発揮され普段意識されることはありません。

意識の広がり

 コンサルティングの現場で絶えず意識するのは、組織全体の意識の方向です。一般的に内側に向かっている組織は不平不満が多く、意識が外に向かっている組織は、建設的であるということが言えます。つまり比較対象の位置によって組織の風土が随分と違うのです。狭い地域での業界を意識している組織では、給料の多寡や労働条件の良否などが話題になることが少なくありません。「あそこに比べてうちは・・・」という話が絶えず起こっています。それに対して、広い地域や異業種を視野に入れている組織では、組織内で発生する不満や不平を「課題」として捉え、前向きに解決を図ろうとします。

東と西の企業意識の違い

全国を訪問して驚いたことがあります。
「(弊社が提供する)そうした組織活性化の取組を近隣の企業でやっているところはありますか」という質問に私が「ありません」と応えた時の企業の反応の違いです。西日本では「そうですか。近くでやっていいないのならうちでは必要ありません」というケースが多いのですが、東日本では「それならうちではぜひ取り組みたいと思います」という返事が多く返ってきます。
最初の頃にはその対応の違いに首をひねっていたのですが、キャリアを重ねるうちに分かってきたのは「村社会」が深く浸透した西日本地域と「一所(いっしょ)懸命」という武士社会を生み出した東日本の風土の差でした。西日本の場合はとにかく隣が気になってしょうがないようです。西日本では変わったことをすると出る杭になって頭を叩かれかねない。それに対して東日本では自分の身は自分で守らなければ誰も助けてはくれない、という独立独歩の精神が横溢しているように思われました。

世界を見据えた組織の強み

 九州でも業種にかかわらず世界を視野に入れて意欲的に活動を始めている組織が増えてきました。そうした組織では自分たちの「立ち位置」が明快なのであまりブレることがありません。何よりも組織にスピード感があって動きが軽快です。物事の優先順位が定まっていて余計なところでつまずいたりしません。つまり経営者や経営幹部の「空間認識能力」が高く、進むべき道筋やレベルがしっかりとしています。

 さて、御社の「空間認識能力」はいかがでしょうか。隣の同業者ばかりを見ていると思わぬところでつまずきかねません。組織の存続を真剣になって考える時、今一度自分たちの「立ち位置」を改めて見つめ直す必要はありませんか。