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 ある企業の社長から、かなり強い口調でクレームを受けたことがあります。「組織活性化プロジェクト」に取り組んでいるのだがベテランたちとリーダー・メンバーがうまくいっていない。ベテランが反発をしてどうにもならない。なんとかしてくれ、という話です。
 リーダーは後継者である専務です。メンバーは工場長と若手の社員たちです。彼らが様々なことを組織で展開しようとするのですがことごとくベテランたちと対立してプロジェクトが前に進んでいないように社長は思っているようでした。実際には時間がかかりつつも前に進んでいるのですが、社長の目からするとまどろっこしくて仕方ない。自分が率先してやれば、全員が言うことをきくのに、息子がするととろく見えるのです。反発しているのは古くからいる職人気質の二人のベテランです。そのベテランと専務たちがうまくいっていない。
 何度か直接社長と会ってお話をする中で【必要なプロセス】について説明をした。
 【必要なプロセス】とは、今まで通りで波を起こさなようなやり方の中からは出てこないものです。将来自分たちの組織がいかにあるべきか、という観点から動き出した時に、初めて顕在化してくる組織の本質的な課題のことです。組織にとって重要な事は、組織の存続と発展です。そのためには時代変化に合わせて、組織も個人もきちんと変化に対応しなくてはなりません。そしてその具体的な姿は、将来のあるべき姿のことです。
 その組織の課題はまず経営者である社長と専務のコミュニケーション不足でした。親子であるがゆえに逆に真剣な話合いを避け、従来の業務優先の中でだけ会話を交わしていました。そうした関係の中で組織の将来を本気で息子が考え始めたことが、具体的にベテランとの軋轢となって現れていたのでした。
「社長、今回起きていることは、組織が一皮むけるために【必要なプロセス】なんです。もう少し長い目で活動を見てもらえませんか」
と何度か申し上げるのだが、なかなか理解してもらえない。ましてやベテランがうまく機能していないと業務に支障をきたす。かなりきつい調子でクレームをいただきました。もちろん、後継者である専務と我々のコミュニケーションは充分に取れていましたし、何よりも専務や共に活動をしているメンバーたちが活動の真の目的を理解していたので、自信を持って経営者と渡り合いました。
 その後、しばらくしてベテラン二人が辞めました。当然業務に支障が出て、専務以下社員たちは相当に日常業務的にはきつい状態にあったようです。しかし、そのきつさを乗り切った時、専務やメンバーが一回りも二回りも大きく成長していました。後継者である専務や活動メンバーたちはその現象が【必要なプロセス】であることを理解していました。結果、組織のコミュニケーションが格段に良くなり、助けあうという本来組織の中でもっとも重要な「献身性」が生まれていました。暗い顔をして働いていた外国人従業員が明るくなり、生き生きと働くようになりました。そして、二人のベテランがいなくなったことを伝え聞いたかつてその会社で働き次々と辞めていっていた若い人たちがもう一度働かせて下さい、と言って来ました。実際、先月今月と若いOBたちがその組織に戻ってきています。
 組織を本気で活性化しようとする時、どの組織でも必ず課題が噴出します。予想の範囲であることもあれば、まったく予想もしなかったようなこともあります。実は、予想もしなかったような課題の中に「本質的な課題」が潜んでいることが少なくありません。そして、その課題を避けてしまうと、組織は正しく変化することが出来ません。一時的にとんでもないことが起きているように見えたとしても、それは組織が次の時代に合わせて変化していくための【必要なプロセス】なのです。
 その組織とは現在とてもよい関係にあります。【必要なプロセス】を経て、新しいステージを後継者たちが切り開いたのですから当然のことです。
 ぜひ、課題の噴出と【必要なプロセス】を恐れることなく、組織トップは前に向かって進んでいただきたいと本気で思います。