首都圏のいくつかの会計事務所が共同開催する「後継者育成塾」の最終回へ行ってきました。一昨年の5月からスタートし、今回が12回目です。つまり2年をかけてちゃんとした経営に関する教育を行おうという本格的な育成研修です。
人は短兵急に育つものではなく、きちんと育成するとすれば時間を必要とします。その意味からすれば、2年をかけてという大きな枠組みは、主催者サイドに育成に関する本質的な理解と覚悟があるということです。

同様の理念で九州では「IG後継者塾」という実戦的な育成研修があり、そこで長年講師をしていることがきっかけで、首都圏の「後継者塾」にも講師として呼んで頂くことになりました。有難い事に、第1回目の講師は私です。つまり育成塾の開始に当たり、塾の意義や後継者の意味など大きなテーマを参加者へ伝えることが仕事です。私の講演や研修をご存知の方はお分かりだが、そうした場面で手を抜くようなことはしない。ましてや参加者は後継者なのです。ユーモアは交じえるが、相当きついことを言う。大きな時代変化の中で、組織を牽引しなければならない立場はそう容易な場所ではないのです。
そして2年後、最終回に呼んで頂けるということは参加者の「2年間の成長」を確認しろ、ということでもありました。

「2年間」とは決して長い期間ではありません。しかしながら素直な気持ちで自分の中学1年生を思い浮かべていただきたい。数週間前まで小学生だった少年少女が新たな制服を着込んで中学生となった時に見た3年生を見て何を感じたでしょうか。さまざまなシーンで3年生の迫力に圧倒されたのではないでしょうか。野球であれば先輩の投げる球の速さ、打球の強さ、走塁の見事さ。文化系の部活でもその知識や技量の量と質の高さに驚いたのではないでしょうか。中学1年生と3年生の差に多くの人たちは圧倒されたはずです。それはわずか2歳の違いでしかありません。そしてとても重要な事は、その2年後、自分たちが3年生になった時、新たに入ってきた1年生が皆さんを見て同じように驚いているということです。
では、皆さん方の組織の34歳と36歳の違いはいかがでしょうか。51歳と53歳の違いはいかがでしょうか。成長期であるかどうかは別にして2年間とは「365日×2」という時間の量としては全く同じです。中学生の時のような驚きを持った「差」はあるでしょうか。

その意味で「後継者塾」参加者の変化は、実に驚くほどのものでした。初日の私が出した「後継者への設問」への回答も翌日の「事業承継プロセス」に関する発表会でも、紛れも無く【自分の言葉】で【自分の意志】を力強く語ってくれました。会場の後ろでその姿を見て、それぞれの言葉を聞いていると「意識の高い2年間」を参加者たちが過ごしていたことがよくわかります。同時に、後継者塾を主催した先生方がどれほどの熱を込めて育成してきたかの証明でもありました。
とても貴重な時間を彼らが得たことがわかりました。そして最初と最後の研修に参加して、その変化の量と質を自ら確認できたことに深く感謝します。

第4期の「首都圏 後継者育成塾」は5月からスタートです。当然、第1回目の講師は私です。
その夜、一日のメモを整理しながら、それぞれの成長について考えました。特に親しくさせて頂いている横浜のYS事務所は後継者について「次の次」まで目処をつけてしまった感じです。単純に人の良さそうなI君が「大人」の顔になっていた。これからもいろいろあるだろうけど自分は逃げない、という覚悟について語った時の表情は、紛れもなく「後継者の相貌」でした。
「こりゃぁ、跡目の次の次まで出てきやがった!」
思わず、ニヤリとしてしまいました。

「意識の高い2年間」についてそれぞれ考えてみてください。