時代がかなり「ヒート」してきたのか、その変化の持っている「熱」に多くの人たちが気付きだしたのか、企業との関わりも「密接」にして「細やか」なものになってきました。経営者や幹部の方々から寄せられる「質問」や「依頼」も、その企業独自のものになってきました。
時代が、「均一な変化」を辿っていないので、そうした流れが生まれてきているのだと思っています。都会と地方では顧客の規模が違い、業種によっては伸びや減少が違い、創業年数によってはレスポンスが違います。昔からの仕組みをアレンジしながら凌がなければならない企業もあれば、思い切ってがらりと仕組みを変えなければならない企業もあります。その意味からすれば紛れもなく【多様性の時代】と言い切ってもいいのかもしれません。
ある後継者からメールをもらい、その返信にこんなことを書きました。
〜前略〜
さて、ご相談の件でございますが、まさに生え抜きの「○○課長の今後」が事業展開の鍵になるかと思います。どの組織でも、伸びる直前は、一度「かがむ必要」があってそれが、仕組みの見直しであったり、鍵を握る人物の個人スキルの獲得であったりします。
その中で、後継者と幹部はいささか育成のやり方が異なります。
後継者は、時代の風を見極め、先頭に立って「組織を率いる」必要があるので、孤独に自分を磨かなければなりません。人に教えを乞い、自ら足を運んで見聞を広げて考え続けなければなりません。
それに対して「幹部」は、【プロセス】の中で育てていく必要があります。【プロセス】すなわち、何ごとかのプロジェクトやイベントの中で、組織の中での自分の位置と部下の能力を判断しつつ、育てていかなければなりません。経験上、「幹部セミナー」を受けただけで変わる人間はまれであるかと思います。むしろ、業務の横にあるプロジェクトを通して、自分の【能力】や【可能性】を気付かせていかなければならないようです。
その意味からしますと「○○課長」の育成も、今後の株式会社○○の成長戦略の中で、「位置」と「目的」を定め、方向性を持たせた流れの中で行っていかなければならないかと思います。
〜後略〜
お分かりだろうか。
後継者と幹部は、育て方が違うのです。右肩が上がっている時代ならば、混ぜ合わせて、最後に分ければよかったのですが、現代は多様性の時代なので、後継者と幹部を混沌の中に一緒に叩き込んではなりません。
組織を率いていかなければならない後継者と、その組織をまとめていかなければならない幹部ではおのずと要求される「スキル」が違うのです。極端な言い方をすれば、後継者は社外(対外)で育て、幹部は社内(対内)、それも「プロセス」の中で育てるのです。
いずれにしても、後継者も幹部も自然に育ってくるものではなく、経営者が自社の将来像を定め、それに沿って「決め込んだ中で」育てなければ、芽すら出しません。
さて、皆様方の組織では、こうしたことについて経営者や幹部の方々で十分な認識を持っているでしょうか。