「さて、どんな時代を生きているのか?」
という問いかけは、いつも時代にも大切なことです。何よりも、「生きる」という世界は、前に向って開かれているので、「先」を読むためには「今」を知る必要があるのです。
いよいよ、「母乳」から放射能が検出されました。
市民団体「母乳調査・母子支援ネットワーク」は20日、独自に母乳を民間放射線測定会社に送り分析した結果、千葉県内居住の女性の母乳から1キログラム当たり36・3ベクレルの微量の放射性ヨウ素を検出したと明らかにした。放射性セシウムは検出されなかった。(共同通信)
福島原発の事故当初から散々心配されていたことですが、現実に起ったとなると、言葉を失います。
官房長官の軽々しい「ただちに・・・」という意味が、1ヶ月くらいの意味だったということが証明されたようなものでした。
「母乳」に関する放射能の規定はありません。そして、案の定、官房長官は記者会見で「心配はない」と言い切ってしまいました。
最近は、すっかりマスコミは公平性や客観性を失い、報道をしませんが、3月17日に、日本政府は「飲料水」や「食物」について、大幅に【基準値】を緩めました。
世界的な「飲料水」の放射線量の1リットルあたり基準は
WHO(世界保健機構)・・・・・ 1ベクレル
ドイツガス水道協会・・・・・・・・ 0.5ベクレル
アメリカ法令基準・・・・・・・・・・ 0.111ベクレル
そして、3月16日までの日本の基準は、10ベクレルでした。
しかしながら、日本の厚生労働省は、明確な根拠を示さないまま、3月17日に、突然「飲料水」の放射線量の基準を「300ベクレル」まで緩めてしまいました。世界基準と比べた時、異常な数字としか言いようがありません。緩めてしまってからの基準でみれば、36.3ベクレルは微量ですが、3月16日以前の基準からすれば、「基準より36倍も高い数値」になります。それを直接乳児が摂取するということがどういうことか、想像してみなければなりません。
放射線管理区域とは、放射線による障害を防止するために設けられる区域で法令により、取り決められている。場所のことです。医療機関や原子力施設など、健康に甚大な被害を及ぼす可能性のある場所のことで、立ち入りやその中での作業、および物品の持ち出しなどに関して、かなり厳しい制限がかけられています。
その基準値は、「3月あたり1.3mSv」で、時間に直すと「0.6μSv/時」という数字になります。つまり、この基準値を越えると、「放射線管理区域」の指定をしなければなりません。
ところが、4月19日、文部科学省と厚生労働省は、保育園や幼稚園、学校活動での放射線量の安全基準を「3.8μSv/時」まで緩めました。今までの基準の「6倍以上」ということです。幼児や子供たちが、「放射線管理区域」で一日を過ごしている風景を想像しなくてはなりません。放射線の満ちた原子力施設やレントゲン室で、子供たちが授業を受けている・・・・。
「さて、どんな時代を生きているのか?」
という問いかけは、いつも時代にも大切なことです。何よりも、「生きる」という世界は、前に向って開かれているので、「先」を読むためには「今」を知る必要があるのです。
映画や小説の世界の話ではありません。今、このとき、日本で起っている現実です。
拳を握り、奥歯を噛み締めて、ファイティングポーズを取りながら、生きていかなくてはなりません。
「情報戦の世界」をわれわれは歩んでいます。