日常の生活の中で、何気なく使う言葉があります。
「高い」「低い」 「近い」「遠い」 「広い」「狭い」 「早い」「遅い」 「暑い」「寒い」・・・・・ 何気なく使っているので、その言葉の背後にどのような「仕組み」が潜んでいるのかどうかに ついて「一般人」が思いをはせることはありません。ただ、「感覚」として、言っているだけ であって、「仕組み」には無関心です。
【高さ】に関しては、「日本水準原点」というものが、東京都千代田区永田町一丁目一番二 国会前庭洋式庭園内に【標高24.4140m】という高さが基準として決められていて、そこから 「一等水準点」「二等水準点」という高さの基準が日本中に配置されていて、各地の「標高」 が決まる。一般人にはまったく関係のないことだが、その「仕組み」があることによって、近 くの山の標高を知ることが出来、ダムの高さが決まり、治水が出来る。
つまり、「仕組み」とは「水面下」の決め事と言うことになります。
【距離】に関しても同様です。以前は、白金90%、イリジウム10%の合金で作られた「メート ル原器」で摂氏零度の時に表示する値を基準にしていました。しかし、物質を基準にしている と「経年劣化」が避けられないために、最近では「“299 792 458分の1光秒(約3億分の1光秒) の到達距離”」が1メートルの基準と定められています。これもまた、一般人にはまったく関係 のないことで、単純に「1メートルは1メートル」ということで済んでしまいます。
一般人にはまったく関係ないことながら、こうして「面積」や「速度」や「温度」についても、 厳密な「ルール」や「決め事」があって、初めて「情報」を共有することが出来ます。「文明」 や「文化」とは、こうした【共通した仕組みに関する認識】を前提としています。
さて、「組織」の仕組みも、「組織外」の人々とはまったく関係ありません。全て「水面下」で の取り決めと言うことになります。 「
朝、早く出てきてください!」 という、組織の要請に対して 「5分前」にならないと全員が集まらない組織もあれば、「30分前」に全員が揃ってしまう組織 もあります。
「日報は必ず出してください!」 という、組織の要請に対して、全員がその日のうちに出してしまう組織もあれば、数日遅れてし まう組織もあれば、催促しなければ揃わない組織もあれば、催促しても出てこない組織もある・・・。
「会議には遅れないように!」 という、組織の要請に対して、 毎回遅刻者を待つ組織もあれば、10分前に全員が席について いる組織もある。
実は、「他人の芝生(他の会社)」をうらやまない「経営者」は、この「組織の仕組み」が「水 面下」のものであることを知っていて、この「水面下」で手を抜いていません。 「個人」も同様です。輝いている、伸びている、へこんでいない「個人」も、この「水面下」で の動きが、表の成果を決めることを十分に知っています。
時代変化は「政治」「経済」「文化」「メディア」「コミュニケーション」などさまざまなシー ンで、「変質」を起こしています。もし上手くいかないことがあるとすれば、「意欲」の問題も 含め、この「水面下」の部分に課題はないでしょうか。何事かを始めるにあたって「いつから」と 「いつまで」ということがとても大切です。「出発」があるからこそ「到着」があり、たとえそこ で待ち合わせ時間があったとしても、そこからの「出発」と「到着」で人は移動していきます。
「流れる水は腐らない」 という言葉があります。組織もまた、変化しなければ「溜まった水」になってしまいます。