とじき雑感

「うちでは!」「自分は!」

    「極東(Far East)」と言う言葉は、もっと一般的に知られるべきことではないかと思います。

    〜ヨーロッパ・アメリカ及び経度から見て、最も東方を指す地政学あるいは国際政治学上の地理区分。中国の甘粛省や四川省から極東ロシア、朝鮮半島、台湾、日本にかけての地域を指す。 古来、ヨーロッパではその東方を、近東(Near East)・極東(Far East)に大まかに区分したが、19世紀の植民地獲得競争の過程でイギリスなどにより中東(Middle East)という概念が生み出されて、これを加えて三分されることとなった。近東はバルカン半島からトルコ、エジプトにかけての地中海東岸域(オスマン帝国領域)、中東はアラビア半島からアフガニスタン、パキスタン、インド、新疆ウイグル自治区、 チベット自治区、青海省にかけての地域であり、極東はそれ以東から日本にかけての地域を指すことになる。〜

    小学校で「日本」が中心にあるような世界地図を見せて地理や歴史を教えるものだから、多くの日本人が「地政学上の正確な位置」を知らないまま日常を送っています。
    自由主義や資本主義を確立した西欧が、世界をどのように捉えていたかを知らなければ、これからの時代は渡りづらいものになるかもしれません。いつまでも、いつまでも西欧をお手本にするわけにはいかないのですが「ファンタジー政治家」や専門馬鹿の「タコツボ学者」は相変わらずお花畑ですが・・・。

    昨年6月のメルマガです。

    【今週の言葉】・・・「うちでは!」「自分は!」

    こんにちは。戸敷進一です。
    九州南部や四国ではすでに梅雨入り。いよいよ本格的な夏到来です。これから蒸し暑さと降雨リスクと体調管理が大切になります。昨今の気象状況は、従来の予想を絶えず裏切り「100年ぶり」とか「観測史上初」という激しさを含んでいます。それは日本だけではなく、世界的規模での現象なのでどこにいても「リスク」と向き合わなければなりません。

    世界の年間降雨量の平均値は、約800mm/年です。それに対して日本の平均降雨量は約1700mm/年です。つまり世界的に見て雨の多い地域です。(ケッペンの気候区分によると、本州以南沖縄諸島大東諸島以北の大半が温帯多雨夏高温気候に属しています)もちろん地域差も大きく、宮崎や高知などの年間降雨量は3000mmを越えますし、東北地域は1100mm程度です。
    では、世界各国の降雨量はどのようになっているでしょうか。

    さすがに、東南アジアを始めとする熱帯雨林地域の降雨量は大きく、フィリピン・シンガポール・インドネシアが約2200〜2700mm、ブラジル・ニュージーランドが1700mmで日本と同じくらいの降雨量です。
    では、いつも日本がお手本にしたがる西欧諸国の降雨量はどれくらいでしょう。
    アメリカ  715mm
    フランス  867mm
    ドイツ   700mm
    イタリア  832mm
    オランダ  778mm
    デンマーク 773mm・・・
    さすがに霧の国イギリスはそれよりも多くて1220mm。ロシアが460mm、中国が627mmです。

    さて、島国に住み、限られた情報と限られた環境の中で過ごしていると、他の国の様子はなかなか実感できません。実感できないので想像しなければなりません。想像をすると、日本がお手本にしたがる先進諸国では「降雨災害」は少ないであろうことは想像できます。日本の半分ほどしか雨が降らないのですから、日本や東南アジア諸国に比べて災害リスクは少ないと言えます。
    ところが、日本の「政治家」という極めて想像力の乏しい人たちが「公共事業費をヨーロッパ諸国並に抑える必要がある」と叫びだしたのは20年ほど前のことでした。挙句、民主党という「幼い人たちで作った政党」が【コンクリートから人へ】というファンタジーを叫んで、この国の基幹産業と国民の生命財産をないがしろにしてきた風景は記憶に新しいところです。熱帯または温帯降雨地帯である国家でやらねばならぬことを忘れ「人まね」に走った姿が現在の極めて脆弱な国土の風景です。

    組織に置き換えると「うちでは!」という確信が経営者や経営幹部に求められます。そして働く人たちには「自分は!」という覚悟が大切です。コンピュータが普及し、情報が溢れ、いいものが目につきやすくなったので現在は「モノマネ」も進んでいます。
    あそこの会社がこうしているからうちもそうしよう。
    あれは良さそうだからうちでも導入しよう。
    業界の流れがこうだからうちも乗り遅れないようにしよう。・・・

    大切なことは「うちでは!」「自分は!」です。
    「モノマネ」からは、何ひとつ創造的な活動は生まれてきません。

    最近、必死でよその企業のやり方を真似しようとする組織が目につきます。都会と地方の違い、気候風土、地勢的な相違、自社と他社の社歴の違いも考えず、ひたすらモノマネに走っている・・・。ぜひ、今一度自分たちの足元を眺めて見てはいかがでしょう。きちんと統計を見つめ、社内を見回し、地域を知り、その上で「戦略」を立てていただきたいと切実に思います。

    梅雨入りです。豪雨の国です。皆様お気をつけ下さい。
    今週もお元気で。戸敷進一でした。

     

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